皆さんは『ドッグシグナル』という作品を知っていますか?
ドッグトレーナーという少し珍しい仕事を題材に、犬と人間が一緒に暮らす難しさや、新米トレーナーの成長を描いた作品です。
ところがアニメ版について検索すると、『ドッグシグナル』のアニメはひどい、作画がひどい、作画崩壊している、つまらない、原作と違う、BLっぽい、炎上した、打ち切りになったのではないかなど、なかなか穏やかじゃない言葉が並びます。
犬を題材にした作品だからこそ、犬好きの視聴者ほど動きや表情の違和感に敏感になりますし、原作を読んでいる人ほどアニメ化による絵柄やテンポの変化も気になるはずです。
僕も年間数百本単位でアニメや映画を観ていますが、こういう作品って、ネット上のひどいという一言だけでは本当の問題がほとんど見えないんすよ。
作画そのものが問題なのか、演出との相性なのか、キャラクターに感情移入できないのか、それとも最初の数話がかなりクセのある作りだからなのか。
今回は『ドッグシグナル』のアニメに集まった評価を追いながら、映像作品としてどこが引っかかりやすく、逆にどこが評価されているのかまで掘り下げていきます。
- アニメの作画がひどいと言われる理由
- つまらない・BLっぽいと感じる原因
- 炎上や打ち切り説の実態
- 犬のしつけ作品として評価される部分
『ドッグシグナル』アニメがひどい理由
『ドッグシグナル』のアニメに対する不満で特に目につくのが、作画、キャラクターへの第一印象、そして原作との雰囲気の違いです。
ただ、この3つは全部同じ問題ではありません。
映像として気になる部分と、物語の好みとして合わない部分を分けて見ていくと、なぜ評価がここまで割れているのかがかなり分かりやすくなります。
作画がひどい
まず避けて通れないのが、アニメ版の作画に違和感を覚えた視聴者がかなりいるという点です。
特に原作を先に読んでいる人からは、キャラクターの顔つきや頭身、犬の顔、毛並みの表現などについて、漫画のほうがかわいいという感想が出ています。
僕が気になるのは、単純な線の上手い下手よりも、犬を画面の中で生き物として感じられる瞬間にムラがあることです。
犬って、人間以上に静止画と動画の差が出る被写体なんすよ。
耳の角度、頭の高さ、尻尾、重心の移動、足運び。
人間なら多少省略しても芝居として成立する動作が、四足歩行の動物だと一気に人形っぽく見えてしまいます。
そのため、顔だけを見ると普通でも、走った瞬間や振り向いた瞬間に「あれ?」となる場面が出やすい。
しかも『ドッグシグナル』は、ただ犬が背景にいるアニメではありません。
犬の行動そのものが物語の情報になっています。
なので、動きの説得力が少し落ちるだけでも、普通の作品以上に映像の違和感が大きく感じられてしまうんです。
ポイント
この作品では犬の動きがそのまま演技になります。
だから人間キャラの顔だけ整っていても、犬の身体表現に違和感があると作品全体の印象まで下がりやすいです。
ぶっちゃけ、原作の犬の絵をそのまま期待すると、アニメ版の簡略化されたデザインに物足りなさを感じる人がいるのは分かります。
ただ、それを即座に作品全部の失敗とするのは少し違うかなとも感じました。
作画崩壊の噂
ネットでは作画崩壊という言葉も見かけますが、ここは少し慎重に見たほうがいいです。
本来の作画崩壊って、人物の身体構造やパースが大きく破綻したり、カットごとに別人に見えたりするような状態を指して使われることが多いんですよね。
『ドッグシグナル』の場合、僕は全編が壊れているというより、キャラクターデザインや動画の簡略化が視聴者の期待と噛み合っていないケースのほうが目立つと感じます。
特に犬の場合、原作では一枚の絵として毛の質感や顔の細かな特徴まで描き込めます。
しかしテレビアニメになると、それを毎秒何枚もの絵で動かさなければいけません。
犬種も一種類ではありません。
骨格も毛の長さも耳の位置も違う犬たちを毎回動かすわけで、人間中心の会話劇より作画面のハードルはかなり高くなります。
そのうえ、本作では犬の仕草を情報として読ませる必要があります。
可愛くデフォルメしすぎてもダメ。
リアルに寄せすぎてもEテレで放送される作品の空気と噛み合わない。
この中間地点を探した結果、原作ファンからすると薄味に見えるデザインになった部分はあると思います。
作画崩壊という言葉そのものについて別作品と比較したい人は、ワンピースのアニメ作画がひどいと言われる理由も読むと、単なる絵柄の好みと作画の破綻の違いが見えやすいです。
つまらない評価
つまらないという感想が出る理由は、作画だけではありません。
むしろ序盤に関しては、主人公と周囲の人物に気持ちよく感情移入しにくい構成がかなり影響していると思います。
主人公の佐村未祐は、最初から理想的な飼い主でも優秀なトレーナーでもありません。
犬との生活に振り回されながら失敗し、そこから学んでいくタイプです。
成長物語として見れば必要なスタート地点なんですが、犬好きの視聴者ほど「犬がかわいそう」という感情が先に立ってしまうんすよ。
ここが面白いところでもあり、かなり危険なところでもあります。
普通のスポーツアニメなら、主人公が下手でも別に困りません。
でも犬の飼育の場合、主人公の未熟さの影響を受けるのは生き物です。
だから視聴者のストレスが一段階上がります。
ネット上でも、序盤を見て犬好きにはつらい、続きを見る気になれなかったという反応がある一方、数話進むと主人公が成長して面白くなるという声もあります。
僕はこの構造、けっこう攻めていると思っています。
主人公を最初から犬を理解した優しい人物として置いたほうが、圧倒的に見やすいです。
それをやらずに、犬との関係そのものを勉強するところから始めている。
ただし、成長するまで付き合ってもらえるかどうかという序盤の設計には苦言を呈したいです。
最初の1話や2話で離れた人にとっては、その先の変化なんて存在しないのと同じですからね。
アニメって、視聴者に待ってもらうこと自体がかなり難しい媒体なんすよ。
原作との違い
原作ファンからの不満で大きいのが、やはり絵柄とテンポの変化です。
原作漫画は一枚の絵を読者が自分の速度で眺められます。
犬の表情をじっくり見ることもできますし、飼い主の心理を一度立ち止まって読むこともできます。
一方、アニメには放送時間があります。
会話、説明、犬の行動、人物のリアクションを一定の尺の中へ収めなければいけません。
その結果、漫画ではじわっと効いていた感情が、映像では次の場面へ早めに切り替わることがあります。
これは原作カットという一言より、漫画とテレビアニメで時間の流れ方が違うと考えたほうが分かりやすいです。
映像学的に見ると、漫画は読者がカットの滞在時間を決めます。
アニメは監督や編集が決めます。
同じ出来事でも、この差だけで感情の余韻はまったく変わるんです。
だから原作で泣いた場面をアニメで見ても「あれ、意外とあっさり終わったな」と感じることがあります。
逆にアニメには声があります。
声優の息遣い、間、犬の鳴き声、環境音まで加わるので、漫画では想像していた空間が具体的になります。
僕は原作とアニメを競わせるより、原作は心理と絵をじっくり読む媒体、アニメは会話と音によって関係性を体感する媒体として見るほうが、この作品は楽しみやすいと思っています。
『DOG SIGNAL』はみやうち沙矢さんによる漫画作品です。
出版社による作品情報も確認できます。
(出典:KADOKAWA公式『DOG SIGNAL』作品ページ)
BLっぽい?
検索するとBLという言葉が出てくるのも、この作品を知らない人にはかなり気になると思います。
結論だけ先に言うと、物語の中心はドッグトレーナーと犬、そして飼い主の関係です。
ただ、序盤の男性キャラクター同士の距離感や、一部のコミカルな演出を見て、BLっぽいと受け取った視聴者がいるのも理解できます。
ここは内容そのものより、演出記号の問題が大きいです。
アニメって、キャラクター同士を近い距離で切り返したり、一方がもう一方を振り回す構図を使ったりすると、それだけで視聴者が既存ジャンルの文法を読み取ることがあります。
特にイケメン男性キャラが複数出てくる作品では、制作側が恋愛として描いていなくても、視聴者側がBL的な空気を感じ取ることは珍しくありません。
僕はその読み方自体を否定する必要もないと思っています。
作品の受け取り方なんて自由ですからね。
ただし、BL作品だと思って観始めるとかなり方向が違います。
犬の行動、飼育、人と犬の信頼関係が物語の中心なので、ジャンルを一言でBLと決めてしまうと、本作が扱っているテーマをだいぶ取りこぼします。
むしろ男性同士のやり取りが気になった人ほど、数話先まで見てから判断したほうがフェアかなと思います。
炎上した?
炎上という言葉も見かけますが、大規模な不祥事が起きて作品そのものが社会的に問題になった、というイメージで受け取ると少しズレます。
実際には、序盤の犬への接し方、キャラクターの言動、作画、BLっぽく見える演出などについて、視聴者から厳しい感想が出たことが大きいです。
特に犬を実際に飼っている人は、フィクションとして流せない場面もあります。
僕もそこは分かるんすよ。
例えばロボットの扱いが多少雑でも、視聴者は現実の被害を想像しません。
でも犬は現実に家族として暮らしている人が多い。
そのため、犬への対応ひとつにも「それは本当に大丈夫なの?」という現実の価値観が入ってきます。
つまり『ドッグシグナル』は、動物を扱う作品だからこそ視聴者との距離が近すぎるんです。
近いから感動も生まれる。
でも同時に、少しの違和感でも猛烈に引っかかる。
この両刃の剣が、本作への反応を極端に見せている部分はあります。
ネット上の炎上という言葉には注意が必要です。
個人の強い感想や一部の批判が検索結果で目立っているケースと、公式対応が必要になるような大規模な問題は分けて考えたほうがいいです。
『ドッグシグナル』アニメひどい説を検証
ここからは、ひどいという評判だけでは見えにくい部分を見ていきます。
打ち切り説、海外アニメデータベースでの評価、犬のしつけを扱う作品としての価値、そして最後まで観た人から出ている好意的な感想まで追うと、単純な駄作扱いでは説明できない作品像が見えてきます。
打ち切り説
『ドッグシグナル』は2023年10月22日から2024年3月17日まで放送され、全20話で終了しています。
その後の続編情報を探した人が、2期がすぐに発表されていないことなどから、打ち切りだったのではないかと感じるケースがあります。
ただ、20話で放送を終えたことと、途中で打ち切られたことは同じではありません。
ここはかなり重要です。
テレビアニメには最初から放送話数や期間を決めて制作する作品が多く、放送が終了しただけで打ち切りとは判断できません。
少なくとも公開されている作品情報を見る限り、突然放送が中断された作品ではありません。
なので、現時点では打ち切りだったと断定する材料は見当たりません。
また、アニメの続編が作られるかどうかは視聴率や配信だけで決まるものでもありません。
原作の展開、制作会社のスケジュール、放送枠、製作委員会の判断など、外からは見えない条件がいくつも絡みます。
だから「2期がない=人気がなかった=打ち切り」という三段論法はさすがに飛躍があります。
続編については、噂ではなく公式発表を待つのが一番です。
アニメの評価
評価を見るときは、ひとつのレビューサイトだけで作品全体を決めないほうがいいです。
『ドッグシグナル』は、海外アニメデータベースAniListではデータ取得時点で平均63点という数値が付いています。
飛び抜けて高評価という数字ではありません。
ただし、完全に視聴者から拒絶された作品という数字でもありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | DOG SIGNAL |
| 放送期間 | 2023年10月22日〜2024年3月17日 |
| 話数 | 全20話 |
| ジャンル | 日常・ヒューマンドラマ |
| AniList平均評価 | 63/100 |
なお、レビューサイトの数値は投稿するユーザー層や集計時期によって変化します。
あくまで一般的な目安として見るのがおすすめです。
僕が作品を見るときも、点数そのものより「何が嫌われているのか」を見るようにしています。
『ドッグシグナル』の場合は、作画、序盤のキャラクター、犬への接し方がマイナスに出やすい。
一方で、最後まで観た人からは犬と飼い主の関係を考えさせられた、毎話泣いた、犬を飼う大変さが分かったという感想が出ています。
つまり、作品を途中で離れた人と最後まで観た人で、評価ポイントがかなり変わりやすいアニメなんすよ。
このズレがあるから、検索結果だけを見ると評判がものすごく悪く感じるんだと思います。
犬のしつけ
『ドッグシグナル』で僕が一番面白いと思うのは、犬の問題行動だけを見るのではなく、人間側の接し方へ視線を戻してくることです。
犬が吠える。
噛む。
言うことを聞かない。
こういう行動だけを見ると、人はつい犬を直そうとします。
でも作品では、生活環境や飼い主の行動、犬とのコミュニケーションまで含めて考えていきます。
これ、人間関係にもかなり似ているんすよ。
僕らも仕事や学校で問題が起きたとき、つい相手だけを変えようとします。
でも実際は、自分の伝え方や距離感が原因になっていることもある。
『ドッグシグナル』を見ていると、犬の話をしているはずなのに、コミュニケーションそのものについて考えさせられる瞬間があります。
Z世代の僕らって、SNSでも職場でも「相手と距離を取る」ことはかなり上手くなりました。
でも、相手を理解するために観察する時間は減っている気がします。
犬は言葉で説明してくれません。
だから表情や動き、環境を見るしかない。
それって、実は人間関係でも大事なことなんですよね。
ただし、アニメは犬のしつけを学ぶ入口として楽しむ作品です。
犬の性格、年齢、健康状態、生活環境によって適切な対応は変わります。
アニメの描写だけを参考に自己判断せず、問題行動や健康面で不安がある場合は獣医師や適切な資格・経験を持つドッグトレーナーなど専門家へ相談してください。
作品や放送に関する正確な情報は公式サイトをご確認ください。
最終的な判断は専門家にご相談ください。
面白い感想
否定的な声だけを追っていると見落としやすいんですが、『ドッグシグナル』にはかなり熱量の高い好意的な感想もあります。
特に目立つのが、犬を飼う責任について考えさせられたという声です。
犬がかわいいから飼う。
それ自体は自然な感情です。
でも現実には、食事、散歩、病気、トリミング、しつけ、老化まで全部ついてきます。
作品はその部分をかわいいだけで包まず、人間側の都合や未熟さまで描こうとします。
そこが刺さる人にはめちゃくちゃ刺さります。
また、後半になるほど飼い主と犬ごとに事情が違うことが見えてくるため、単純な犬のしつけ講座では終わりません。
犬を通して人間の生活や家族関係を見るドラマになっていくんです。
僕はここが『ドッグシグナル』の一番うまいところだと思っています。
もし毎回「犬が問題を起こす→トレーナーが直す」だけなら、数話で飽きます。
でも実際には、その犬がなぜそうなったのか、その環境を作った人間はどういう状態なのかまで話が広がっていく。
つまり、犬を題材にした作品でありながら、最終的に映しているのは人間なんですよ。
これは就活でも仕事でも似ています。
問題が起きたとき、その人だけを悪者にすると話は簡単です。
でも背景を見ると、役割のミスマッチだったり、説明不足だったり、環境そのものに原因があったりする。
『ドッグシグナル』が面白い人は、たぶん犬のかわいさ以上に、こういう人間側の不器用さに反応しているんじゃないかなと思います。
そして、その不器用さを完璧に解決するのではなく、一緒に暮らす方法を少しずつ覚えていく。
派手なバトルも大逆転もありません。
でも、生活って本来そういうものなんすよね。
『ドッグシグナル』アニメひどい説まとめ
『ドッグシグナル』のアニメがひどいと言われる理由を追っていくと、すべてが同じ原因ではないことが分かります。
- 原作と比べて作画や犬のデザインが簡略化されて見える
- 犬の動きをアニメーションで表現する難度が高い
- 序盤の主人公やキャラクターに感情移入しにくい人がいる
- 一部の演出からBLっぽいと感じる視聴者がいる
- 犬を飼っている人ほど描写に現実的な目線を向けやすい
- 一方で犬と飼い主の関係を描くドラマには高評価も多い
個人的には、作画面にもう少し説得力が欲しかったという意見にはかなり共感します。
特に犬が物語の中心にいる以上、犬の動きや表情が映像としてもっと魅力的なら、この作品の評価はかなり変わっていたかもしれません。
ただ、それだけで中身までひどいと決めてしまうのはもったいないです。
犬を変える話に見えて、実際には人間が自分の接し方を見直していく。
この構造が分かってくると、『ドッグシグナル』は単なるペットアニメではなくなります。
僕はむしろ、かわいい犬を眺めるだけの作品だと思って観るより、犬を通して人間の未熟さを見るヒューマンドラマとして観たほうが圧倒的にしっくりきました。
序盤のクセや作画が気になって離れた人がいるのも分かります。
でも検索結果のひどいという一言だけで判断する前に、自分が作品に何を求めているのかを考えてみるといいです。
犬の圧倒的な作画美を求めるなら、物足りなく感じるかもしれません。
一方で、犬と暮らすこと、人間が相手を理解すること、誰かと一緒に生きる難しさに興味があるなら、ちゃんと見る価値のある作品だと思います。
アニメ・映画が大好きで毎日色んな作品を見ています。その中で自分が良い!と思った作品を多くの人に見てもらいたいです。そのために、その作品のどこが面白いのか、レビューや考察などの記事を書いています。
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