ヴィンランド・サガの2期が「ひどい」と言われる理由とは？本当の見どころを解説

「ヴィンランド・サガ2期、ひどいって本当？」

そんな声をSNSやレビューでよく見かけます。

1期の壮絶な戦闘シーンに魅了されたファンほど、2期の静かな展開に戸惑ったかもしれません。

しかし、トルフィンの“戦わない戦い”を描くこのシーズンは、シリーズ全体の中でも特に深いメッセージが込められています。

本記事では、「ひどい」と言われる理由を整理しつつ、その裏にある真の魅力を紐解きます。

『ヴィンランド・サガ』2期はひどい？：視聴者の反応まとめ

ヴィンランド・サガ2期が放送されたとき、多くのファンの間で「1期の方が面白かった」「テンポが遅くて退屈」といった声が広がりました。
壮絶な戦闘シーンや復讐劇に熱狂した1期から一転、2期では静かで内面に迫る物語へと変わったため、戸惑う視聴者が多かったのです。
ここでは、視聴者の声や1期との違い、そして「ひどい」と言われてしまった理由を整理していきます。

視聴者の声

放送当時、SNSでは「戦いがない」「地味すぎる」「作画はきれいだけど話が進まない」といったコメントが目立ちました。
特にAmazonプライムビデオで一挙配信されていたこともあり、1話ごとに感想を投稿する人が多く、賛否がはっきり分かれた印象があります。

1期ではアシェラッド率いる傭兵団が戦場を駆け巡り、トルフィンが剣を振るう姿に興奮した人も多かったでしょう。
しかし2期の序盤では、戦争が終わり、奴隷として働くトルフィンの静かな日々が描かれます。
「まったく戦わないアニメになった」と驚く視聴者もいました。

一方で、「心が救われる話だった」「トルフィンの表情に深みが出た」と感動したという意見も少なくありませんでした。
戦うことをやめた主人公の姿に、人間としての成長を感じた人も多かったのです。
感情の起伏は少ないものの、静かな場面の中に重みがあると感じた人もいました。

まとめると、評価はこのように分かれます。

視聴者の感想	内容の傾向
ひどい・つまらない	戦闘が少ない、テンポが遅い、暗い雰囲気が続く
面白い・感動した	トルフィンの成長、深いテーマ、作画の美しさ

1期との違い

1期と2期では、作品の空気がまるで別物です。
1期は「戦い」と「復讐」が軸にあり、アシェラッドやトルケルなど強烈なキャラクターが次々と登場しました。
トルフィンは父の仇であるアシェラッドを倒すために、戦場を転々としながら剣を磨く姿が描かれていました。
アクション重視で、毎話のように剣戟や戦術が見どころになっていました。

しかし2期は「農場編」と呼ばれる時代に入り、戦から離れた物語が中心となります。
トルフィンは戦うことをやめ、ケティルの農場で奴隷として生きる日々を送ります。
アクションシーンよりも、人と人との対話や心の変化に焦点が当てられました。
トルフィンとエイナルが耕す畑や、収穫の喜びを分かち合う場面など、戦いとは無縁のシーンが続きます。

映像面では、制作がWIT STUDIOからMAPPAに変わったことで、色彩や表現にも違いが生まれました。
1期の硬質で鋭い映像から、2期では柔らかく、温かみのあるトーンに変化しています。
この「穏やかさ」が、一部の視聴者にとっては「迫力がなくなった」と感じられたのかもしれません。

1期と2期の特徴をまとめると、次のようになります。

比較項目	1期	2期
テーマ	復讐と戦い	贖罪と再生
主な舞台	戦場	農場
主人公の姿	戦士トルフィン	奴隷トルフィン
制作会社	WIT STUDIO	MAPPA
雰囲気	激しくドラマチック	静かで内省的

この変化が、物語の本質を描くうえで重要な意味を持っているものの、視聴者の期待とは大きくずれていたのです。

ひどいと感じる理由

「ひどい」と感じる人の多くは、テンポの遅さと派手さの欠如を指摘しています。
1期での緊張感あふれる戦闘や駆け引きが、2期ではほとんど見られないため、物足りなさを感じるのです。
トルフィンが戦士から奴隷になり、畑を耕す姿はあまりに静かで、前シーズンとの落差が大きいと感じる人が多かったようです。

また、トルフィンの性格の変化にも戸惑う声がありました。
1期では怒りと憎しみに支配された少年でしたが、2期では戦うことを拒み、深い虚無の中に沈んでいます。
第1話で「奴隷」として登場するトルフィンの無表情な姿に、「別人のようだ」と感じた人もいたでしょう。
それでも、物語が進むにつれて、エイナルとの出会いやケティルの言葉を通じて、トルフィンの心は少しずつ変化していきます。
第10話「呪いの首」でトルフィンが夢の中で過去の罪と向き合う場面は、2期の中でも特に印象的なシーンです。
この静かな戦いこそが、2期の真のテーマなのです。

つまり、「ひどい」と感じる理由の多くは、作品の方向性が変わったことによる“期待とのギャップ”にあります。
1期のような迫力を求める人にとって、2期は物足りなく映ります。
しかし、キャラクターの心情や人間の成長を描くドラマとして見れば、深く心に残る物語であることが分かります。

2期は、戦わないことで「戦う意味」を問い直す物語。
トルフィンが本当の「戦士」になるための道を描いた、静かで強い作品なのです。

制作会社の変更

ヴィンランド・サガ2期で大きな注目を集めたのが、制作会社の変更です。
1期を手がけたのは、進撃の巨人の初期シリーズでも知られるWIT STUDIO。
一方で、2期の制作は呪術廻戦やチェンソーマンなど、重厚な映像で評価の高いMAPPAが担当しました。
この交代が、作品の雰囲気や描かれ方に大きな影響を与えています。

WIT STUDIOの1期は、戦場の緊迫感と力強いアクションで視聴者を圧倒しました。
戦士トルフィンが剣を振るう姿や、雪原の戦い、アシェラッドとトルケルの死闘など、まるで映画のような迫力がありました。
カメラワークも動きが多く、戦場の混乱や臨場感を肌で感じられる映像表現が特徴でした。

一方、MAPPAの2期では、同じクオリティの作画力を持ちながらも「静けさ」を重視した構成になっています。
農場の柔らかい光や風、麦畑の揺れ方など、自然の描写に時間をかける演出が目立ちます。
戦闘シーンは減りましたが、その分、表情や間の使い方でキャラクターの感情を繊細に描いています。
例えば、トルフィンが農場で黙々と耕すシーンでは、言葉がなくとも「生きる意味を失った青年」の虚無感が伝わります。

MAPPAは心理描写を得意とするスタジオでもあります。
2期ではトルフィンの内面世界を、夢や回想を通して丁寧に映し出しています。
第10話「呪いの首」では、トルフィンが過去に殺した人々の幻影に囲まれる幻想的な演出が印象的です。
そのシーンの光の当たり方や色の使い方が、まるでトルフィンの心の闇と希望を象徴しているようでした。

つまり、WIT STUDIOからMAPPAへの変更は、単なる制作陣の交代ではなく、物語の「見せ方」を根本から変えた大きな転換だったのです。
WITが外の世界での“戦い”を描いたのに対し、MAPPAは内なる“心の戦い”を描いたとも言えるでしょう。

制作会社	特徴	描写の方向性
WIT STUDIO	アクションの迫力・カメラワーク	戦場と復讐の物語
MAPPA	心情描写の繊細さ・映像の静けさ	贖罪と再生の物語

作画・演出の変化

制作会社の変更とともに、作画や演出にも明確な違いが見られます。
1期のWIT STUDIO版は、戦闘の動きをリアルに再現するダイナミックな作画が特徴でした。
特に第9話「ロンドン橋の死闘」では、剣戟のスピード感と重みがあり、視聴者を画面に釘付けにしました。
アシェラッドが剣を構えるときの筋肉の動きや、雨に濡れる鎧の質感まで細かく描かれています。

しかし、2期ではその派手さが影を潜め、代わりに「光と影」のコントラストを使った演出が多くなりました。
農場の朝焼けの光、木漏れ日の中の会話、夕暮れ時の静かな田畑。
どれも心情を映し出す鏡のように機能しています。
戦いの代わりに“沈黙”や“まなざし”で感情を伝える演出が増え、視聴者に考えさせる時間を与えています。

特に印象的なのは、トルフィンとエイナルが奴隷として出会う第1話のシーンです。
広い畑に立つ二人を引きで撮るカットが多く、言葉を交わさずとも「孤独」と「希望の芽生え」が伝わります。
作画の細かさだけでなく、カメラの距離感や光の角度までもが、物語を語っているのです。

また、色彩設計も変化しています。
1期では灰色や黒を基調とした寒色系が多く、戦場の冷たさを表現していました。
2期では黄や緑、茶色など、自然の色が増えており、温かみと穏やかさを感じさせます。
色の変化は、トルフィンの心の移り変わりとリンクしており、彼の再生の物語をより感覚的に伝えています。

MAPPA版は、一見すると地味に見えるかもしれません。
しかし、人物の“まばたき”ひとつ、手の動きひとつにも感情がこもっており、緻密な演出が光ります。
これは派手さよりも「心の動きを描く」ことに重点を置いたMAPPAらしい表現です。

脚本とテーマの深み

2期の脚本を手がけたのは、1期に続き瀬古浩司さんです。
シリーズ構成も変わらず、同じチームが関わっているため、ストーリーの一貫性はしっかり保たれています。
ただし、脚本のトーンは大きく変わりました。
1期が「復讐」という外向きの物語だったのに対し、2期は「贖罪と再生」という内向きの物語へと移行しています。

トルフィンは父・トールズの仇を討つために生きてきましたが、その目的を失い、生きる意味を見失います。
この“喪失”からどう再び立ち上がるのかが、2期の核となっています。
第5話「血の道」では、エイナルが奴隷としての過酷な運命に怒りをぶつける一方、トルフィンは感情を押し殺しています。
この対比が物語の中で重要な意味を持ちます。
感情を失った人間が、他者との関わりを通じて再び人間性を取り戻していく過程。
これが2期最大のテーマです。

脚本は派手な展開を避け、会話や沈黙でドラマを描きます。
例えば、トルフィンが夢の中で父トールズやアシェラッドと再会する場面では、アクションはなくても心を揺さぶられる強さがあります。
アシェラッドの「お前は何者だ」という問いは、トルフィンだけでなく、視聴者自身に向けられているように感じます。

また、2期の物語には「赦し」というモチーフが繰り返し登場します。
ケティル農場で働くトルフィンが、かつての自分のように怒りに支配された人物たちと向き合うことで、「人は変われるのか？」という問いを投げかけています。
それはアクションではなく、対話と内省によって進む物語です。

脚本の魅力は、静かなシーンに潜む「感情の熱さ」です。
1期のように血を流す戦いはなくても、心の中では激しい戦いが起きています。
それは、暴力でしか自分を表現できなかった少年が、言葉で他者を理解しようとする成長の物語です。

まとめると、脚本とテーマの変化はこのように整理できます。

比較項目	1期	2期
主題	復讐と戦い	贖罪と再生
トルフィンの姿	戦士としての怒り	奴隷としての再生
ドラマの焦点	外の世界での戦	内なる心の戦
感情の表現方法	剣と行動	沈黙と対話

2期の物語は、地味に見えても、深く心を打つ構成になっています。
トルフィンが“戦わない勇気”を学ぶ姿は、人間がどう生きるべきかを静かに問いかけています。
ヴィンランド・サガ2期は、派手さよりも「人としての成長」を描いた、成熟した物語なのです。

『ヴィンランド・サガ』2期はひどい？：本当の魅力とは

ヴィンランド・サガ2期は、1期とはまったく違う世界が広がっています。
戦いの物語から、静かな日常と再生の物語へ。
「ひどい」と言われることもありますが、じっくり見ていくと、心の奥に深く響くテーマが隠されています。
ここでは、2期の作品概要とあらすじ、そして物語を支える登場人物たちを紹介します。
アクションよりも“生きる意味”に焦点を当てたこのシーズンの魅力を、改めて見つめてみましょう。

作品概要

ヴィンランド・サガは、幸村誠による歴史漫画を原作としたアニメです。
アニメの2期は2023年1月から6月まで放送され、制作はMAPPAが担当しました。
1期を制作したWIT STUDIOから引き継ぐ形で、スタッフ陣も多くが続投しています。
監督は籔田修平さん、シリーズ構成と脚本は瀬古浩司さん、音楽はやまだ豊さんが手がけました。

放送はTOKYO MXやBS11などで行われ、NHK総合でも深夜枠でオンエアされました。
さらに、Amazonプライムビデオでは世界同時配信され、多くの海外ファンからも注目を集めました。
音楽面では、Anonymouzの「River」やSurvive Said The Prophetの「Paradox」といった主題歌が印象的で、映像と見事に調和しています。

舞台は11世紀初頭の北ヨーロッパ。
デンマーク王国の支配下にあるイングランドや北海を舞台に、戦士たちの生き様を描いた物語です。
2期では、トルフィンが奴隷として働く“ケティル農場”が中心となり、1期とはまったく異なる空気感が漂います。
剣と血にまみれた戦場から離れ、静かで広大な自然の中で描かれるのは、「赦し」と「再生」の物語です。

1期と2期の違いを整理すると、次のようになります。

比較項目	1期	2期
舞台	戦場、王国の争い	ケティル農場
トルフィンの立場	傭兵	奴隷
メインテーマ	復讐と戦い	贖罪と再生
制作会社	WIT STUDIO	MAPPA
放送時期	2019年7月～12月	2023年1月～6月

この表からも分かるように、2期はテーマも舞台もまるで違う作品のようです。
しかし、トルフィンという一人の青年が“何のために生きるのか”を探すという点では、一貫した物語になっています。

あらすじ

2期の始まりは、戦場ではなく農場からです。
トルフィンはかつて多くの人を殺してきた戦士でしたが、復讐の相手アシェラッドを失い、生きる意味を見失っていました。
その後、奴隷としてケティルという地主の農場に売られ、無気力な日々を送っています。

そんな中、エイナルという青年と出会います。
エイナルは家族を戦争で失い、奴隷として農場に連れてこられた人物です。
最初はトルフィンに冷たい態度をとりますが、次第に互いの過去を知り、支え合うようになります。
2人が荒れた畑を耕し、少しずつ作物を育てていく姿は、心の再生そのものです。

やがて、トルフィンは夢の中で過去の自分と向き合います。
戦場で奪ってきた命の重さに押しつぶされながらも、「もう誰も殺さない」と誓うようになります。
この決意は、彼にとって“本当の戦士”になるための第一歩でした。

後半では、ケティルの息子オルマルや、かつての仲間スヴェン王の軍勢など、外の世界との関わりも再び描かれます。
戦争の影が再び迫る中、トルフィンは「争いのない土地＝ヴィンランド」を目指すという夢を抱きます。
その夢は、ただの理想ではなく、「過去の罪を超えるための希望」として描かれています。

特に最終話「故郷」では、トルフィンが自分の意思で立ち上がり、再び歩き出す姿が印象的です。
このラストは、戦士としての終わりではなく、“人間としての始まり”を意味していました。

登場人物

2期では、1期で活躍したアシェラッドやトルケルのような派手な戦士たちは登場しません。
その代わりに、静かな中で人生を背負って生きる人々が描かれます。
ここでは、物語を支える主要キャラクターを紹介します。

まず主人公のトルフィン。
かつては復讐のために生きた少年でしたが、今は戦うことをやめ、無気力な青年になっています。
農場での労働を通して、少しずつ“生きる意味”を取り戻していく姿が描かれます。
彼の目の前に広がる畑は、まるで彼自身の心の荒地のようです。
荒れた土地が少しずつ耕され、やがて緑に変わっていく描写は、トルフィンの再生そのものです。

エイナルは、トルフィンにとってもう一人の主人公です。
家族を戦争で失い、奴隷として生きることになった青年ですが、人を恨まず、前向きに努力する姿が印象的です。
トルフィンとは対照的に、最初から「生きたい」「働きたい」という意志を持っています。
エイナルがトルフィンに「一緒に生きよう」と声をかける場面は、物語の転換点となりました。
彼の存在があったからこそ、トルフィンは再び人間らしさを取り戻すことができたのです。

ケティルは農場の主人であり、穏やかで正直な性格の持ち主です。
奴隷にも優しく接し、「働けば自由を与える」という約束をしています。
しかし、物語の後半では戦の波に巻き込まれ、立場を失っていきます。
彼の変化は、戦争という時代の残酷さを象徴しています。

また、ケティルの息子オルマルやトルフィンの過去を知る兵士たちも登場し、物語に緊張感を与えます。
オルマルは最初は甘やかされた若者ですが、やがて現実の厳しさを知り、成長していきます。
この“成長”というテーマは、トルフィンだけでなく、すべての登場人物に共通しています。

最後に、物語全体を包み込むのが「自然」の存在です。
風に揺れる麦畑、静かな朝の光、雪解けの音。
それらが人の心の変化を映し出すように描かれています。
この自然描写の美しさも、ヴィンランド・サガ2期の大きな魅力のひとつです。

見どころ

ヴィンランド・サガ2期の見どころは、一見静かな物語の中に潜む“熱さ”です。
1期のような派手な戦闘や剣戟はほとんどありません。
それでも、登場人物たちの心の中では常に戦いが続いています。
怒り、後悔、赦し、そして希望。
それぞれが葛藤しながら生きる姿に、人間としての深いドラマが込められています。

特に印象的なのは、トルフィンの心の変化です。
1期では父トールズを殺された怒りに支配され、復讐のために生きていました。
しかし2期では、アシェラッドの死をきっかけに生きる意味を失い、まるで抜け殻のような状態から始まります。
農場での日々は単調で、奴隷としてただ働くだけの生活。
それでも、エイナルとの出会いによって少しずつ“生きることの意味”を見つけていきます。

第6話「馬がほしい」では、トルフィンとエイナルが力を合わせて大地を耕す場面が描かれます。
このシーンは、ただの労働ではありません。
かつて剣で人を殺してきたトルフィンが、初めて“命を育てる”側に立つ瞬間です。
無表情だったトルフィンの顔に、少しずつ光が戻っていく描写がとても印象的です。

また、第10話「呪いの首」では、トルフィンが夢の中で過去の自分と対峙します。
殺した人々の幻影に囲まれ、絶望の中で「もう誰も殺さない」と誓う場面は、シリーズ屈指の名シーンです。
この瞬間、彼は剣ではなく、心で戦う“真の戦士”へと変わりました。

そして、エイナルとの友情も2期の大きな見どころです。
エイナルはトルフィンにとって過去を赦し、未来へ進むための存在です。
第17話「家路」では、トルフィンが「誰かを憎むことは、また自分を苦しめることだ」と語ります。
その言葉に、エイナルが涙を流すシーンは、人と人が心でつながることの尊さを感じさせます。

ヴィンランド・サガ2期は、戦いがなくても心が熱くなる物語。
静けさの中に燃えるような感情が宿っており、見るたびに新しい気づきを与えてくれます。

音楽の魅力

ヴィンランド・サガ2期のもう一つの魅力は、音楽です。
作品全体を包み込むような音楽が、物語のテーマと深く結びついています。
やまだ豊さんによる劇伴は、壮大でありながら繊細で、トルフィンの心情をまるで“音”で語るようです。

特に印象的なのが、オープニングとエンディングテーマです。
第1クールのオープニング「River」（Anonymouz）は、静かなピアノの旋律から始まり、希望に満ちたサビへと展開します。
“流れ続ける川”のように、トルフィンが止まらず歩き続ける姿を象徴しているようです。
映像では、トルフィンが荒れた大地を歩き、光に向かって進む姿が描かれており、音楽と完璧に調和しています。

エンディングの「Without Love」（LMYK）もまた、2期を語るうえで欠かせません。
穏やかな歌声が、トルフィンとエイナルの関係や、失われた愛を取り戻す物語を静かに締めくくります。
“愛がなければ人は生きられない”というメッセージが込められており、戦いを捨てたトルフィンの心情と重なります。

第2クールでは、Survive Said The Prophetの「Paradox」とhaju:harmonicsの「Ember」が登場します。
「Paradox」は力強いリズムの中に切なさがあり、トルフィンが再び世界と向き合う覚悟を表現しています。
特に映像で、トルフィンが過去の自分を振り返りながら立ち上がる場面と重なる瞬間は、鳥肌が立つほどの迫力があります。
「Ember」はエンディングとして、希望の火を絶やさないというメッセージが込められています。
静かに燃える炎のように、2期全体のテーマである“心の再生”を音で感じさせてくれます。

音楽の使い方にも注目です。
戦闘がない分、音楽が物語のリズムを作っています。
トルフィンとエイナルが畑を耕す場面では、柔らかい弦の音が流れ、静けさの中に優しさを感じます。
一方、戦の影が迫る場面では、重い太鼓や低音が響き、緊張感を生み出しています。

このように、ヴィンランド・サガ2期の音楽は、ただのBGMではなく“もう一人の語り手”として機能しています。

配信状況

ヴィンランド・サガ2期は、国内外でさまざまな方法で視聴できます。
日本ではTOKYO MX、BS11、AT-Xなどのテレビ局で放送されました。
特にAT-Xでは字幕付きでのリピート放送も行われ、ファンの間で高い評価を得ました。

さらに、Amazonプライムビデオでは全世界同時配信が行われました。
日本語版だけでなく、多言語字幕や吹き替えも対応しており、海外ファンにも広く届いた作品です。
Amazonの独占配信によって、放送地域を問わず視聴できた点は大きな魅力でした。

視聴方法	詳細
テレビ放送	TOKYO MX、BS11、AT-X、NHK総合などで放送
配信サービス	Amazonプライムビデオにて世界同時配信
放送期間	2023年1月10日～6月20日
話数	全24話構成（第1クール＋第2クール）

特にAmazonプライムビデオでは、第1期・第2期ともに一気見が可能です。
放送当時に見逃した人でも、ゆっくり楽しむことができます。
また、海外の視聴者からの評価も高く、「戦いのない戦争アニメ」として独自の地位を築きました。

筆者の感想

私も最初は2期を見て「静かすぎる」と感じました。
1期のような緊張感やアクションがなく、話の進み方もゆっくりです。
しかし、最後まで見たとき、その静けさの中にこそ“魂の闘い”があることに気づきました。

トルフィンが剣を捨てたのは、弱さではありません。
本当の強さとは、人を傷つけない勇気を持つことだと気づいたからです。
農場での地味な日常の中で、トルフィンはかつての自分と向き合い、怒りではなく希望を選びました。
その姿は、私たちが生きる現代にも通じるメッセージを持っています。

特に印象に残ったのは、最終話でトルフィンが「争いのない土地、ヴィンランドを作りたい」と語る場面です。
この言葉には、これまでのすべての苦しみと願いが込められています。
復讐のために生きた少年が、人を救うために生きる青年へと成長した瞬間でした。

2期は派手さはありませんが、その静けさの中にある“心の炎”が、いつまでも消えません。
もし「ひどい」と感じた人がいたら、もう一度ゆっくり見返してみてください。
きっと、戦いのない日々の中に、人間としての強さと優しさを見つけられるはずです。

ヴィンランド・サガ2期は、戦士の物語ではなく、“人間の再生”の物語です。
そして、それこそがこの作品の本当の魅力なのです。