アニメ『ザ・ファブル』は、南勝久先生の人気漫画を原作とした作品で、2024年春に満を持して放送されました。
原作ファンからの期待も大きかった本作ですが、放送が進むにつれ、「ひどい」「がっかりした」といった否定的な意見も目立つようになりました。
この記事では、そんなアニメ『ザ・ファブル』がなぜ”ひどい”と言われてしまったのか、具体的な理由と共に、本作が持つ魅力や今後の展開(第2期)についてもあわせて丁寧に解説していきます。
ファブルのアニメがひどい:基本情報と評価

ここでは、アニメ『ファブル』がひどいと言われていますが、その前にあらすじやキャラクター、放送概要、視聴者の評価などを紹介します。
あらすじ
“殺しの天才”として裏社会で恐れられていた”ファブル”こと佐藤明。長年にわたり無敗を誇るプロの殺し屋として活躍してきた彼は、ある日突然、ボスから「1年間誰も殺してはいけない」という不可解な命令を受けます。組織の信頼を一身に集めてきた明にとって、それは極めて異例な指示でした。
命令に従い、明は相棒である佐藤洋子とともに大阪の太平市へ移住し、”普通の人間”としての生活を始めます。殺しのスキルを一切封印し、一般人としてひっそりと暮らす中で、彼はデザイン会社「オクトパス」に勤め始めます。職場の仲間たちとの交流や、町の住人たちとの触れ合いを通して、これまで知らなかった”平穏な日常”の一端に触れていきます。
しかし、表の顔とは裏腹に、太平市にはさまざまな闇が潜んでおり、やがて明は悪徳な興信所を率いる宇津帆や、裏社会の抗争に巻き込まれていくことに。自分の正体を隠しながらも、持ち前の”プロ意識”と鍛え抜かれた戦闘スキルを用いて、明は争いを未然に防ぎ、人々を守るために奔走します。
殺し屋としての過去と、新たに目指す日常との狭間で揺れる明の姿が、作品全体の大きなテーマとして描かれています。彼は本当に「誰も殺さずに1年を過ごせる」のか。そしてその先に見えるものとは──。
主な登場人物&声優
- 佐藤明(CV:興津和幸)
- 冷静沈着な最強の殺し屋。殺し屋としてのスキルは一流で、敵に一切の隙を与えないプロフェッショナル。一般人としての暮らしには苦戦しつつも、自分に課された「誰も殺さない」というミッションを守るため、真剣に向き合い続ける。感情を表に出さないが、内には強い正義感と哲学を持っている。
- 佐藤洋子(CV:沢城みゆき)
- 明の相棒。明るく奔放な性格で、お酒好き。感情表現が豊かで社交的だが、時折シリアスな一面も見せる。明の秘密を共有する数少ない存在として、時にはサポート役、時にはトラブルメーカーとして物語に彩りを加える。
- 清水岬(CV:花澤香菜)
- 明の勤務先であるデザイン会社「オクトパス」の同僚。純粋で誠実な性格で、明のことを普通の人間だと思い込んでいる。彼女の存在が、明にとっての日常生活の象徴であり、一般人として生きる難しさと希望の両方を示している。
- 宇津帆玲(CV:藤真秀)
- 表向きは市民に信頼される人物を装っているが、裏では悪徳な詐欺行為を繰り返す冷酷な犯罪者。若者たちを支配し、非合法なビジネスで金を稼ぐ。物語の後半で明と激突し、彼の正義感と非殺の信念が試される存在。
- 鈴木ヒロシ(CV:子安武人)
- 宇津帆の仲間であり、冷酷無比な暗殺者。戦闘能力が極めて高く、任務遂行に一切の情を持たないタイプだが、宇津帆の秘書であるヒナコに対しては特別な感情を抱いており、そこに彼の人間らしさが垣間見える場面もある。
アニメ概要:何話までアニメ化?
『ザ・ファブル』のアニメは2024年4月から2クール(全25話)で放送され、原作の「宇津帆編」までが描かれました。
ストーリーは比較的原作に忠実で、暴力描写などはテレビ放送用に若干マイルドに修正されています。
評価
Filmarksやアニコレなどのレビューサイトでは、平均3.6〜3.8点と、可もなく不可もなくという評価になっています。
視聴者の中には「原作の雰囲気は出ているが、アニメとしての魅力に欠ける」といった声も見られました。
特にアクションシーンや心理描写の淡泊さに対して物足りなさを感じる意見があり、「映像ならではの表現がもっと欲しかった」との声も上がっています。
一方で、「声優陣の演技が素晴らしい」「ストーリーが独特で興味を引かれる」といったポジティブな意見も存在します。
SNS上では、毎週の放送に合わせて感想が投稿されており、特定の回やセリフに注目が集まることもありました。
全体として、作品の評価は賛否両論でありながらも一定の注目を集めていると言えるでしょう。
具体的なひどい理由や魅力については後ほど解説してます。
配信
2025年現在、ディズニープラスで独占配信中。
配信サービス名 | 配信形態 | 無料体験期間 | 月額料金(税込) | 備考 |
---|---|---|---|---|
Disney+(ディズニープラス) | 見放題 | なし | 1,140円〜 | 全話見放題配信。広告なしで視聴可能。 |
DMM TV | レンタル | 14日間 | 550円 | 初回登録で550ポイント付与。1話無料視聴可能。 |
U-NEXT | レンタル | 31日間 | 2,189円 | 初回登録で600ポイント付与。1話無料視聴可能。 |
dアニメストア | レンタル | 31日間 | 550円 | 1話無料視聴可能。 |
Lemino | レンタル | 31日間 | 990円 | 1話無料視聴可能。 |
Blu-rayの第1巻もすでに販売されており、パッケージ展開も進んでいます。
時期によって配信情報は異なるので、詳しくは公式サイトをご覧ください。
2期の可能性は?
公式から第2期に関する明確な発表はまだされていませんが、ファンの間では続編への期待が高まっています。
というのも、原作にはまだアニメ化されていないエピソードが多数残されており、特に「山岡編」や「佐藤兄妹のルーツ」に関わる重要なストーリーは、今後のアニメ展開でぜひ描いてほしいと願う声が多く見られます。
また、2024年現在、ディズニープラスでの独占配信やBlu-rayの販売が進められており、これらの売上や視聴数が一定の基準をクリアすれば、第2期制作の可能性は十分に考えられます。
さらに、SNS上では「2期希望」や「続きを早く見たい」といった投稿が日々増加しており、ファンコミュニティの熱量も無視できない状況です。
加えて、声優陣や制作スタッフのインタビューでも「今後の展開に備えている」といった含みのある発言があったことから、水面下で何らかの準備が進められている可能性も。
今後の公式発表に注目が集まっています。
ファブルのアニメがひどい理由と魅力

ファブルのアニメが「ひどい」と言われる理由を掘り下げながら、同時に見逃せない魅力にも焦点を当てていきます。
ひどい理由1:作画の不安定さ
一部の話数で背景や人物の作画に乱れが見られ、「キャラの顔が別人」「動きがカクカク」とSNSで話題になりました。
特に、第8話の居酒屋のシーンでは、佐藤明の顔のバランスが崩れ、「まるで別人のようだ」と揶揄され、多くの視聴者が違和感を覚えました。
加えて、アクションシーンにおいても動きの滑らかさが欠け、緊張感のある場面での没入感を損ねてしまったという指摘が多く寄せられています。
たとえば第5話の屋上での対決シーンでは、キャラクターの動作が機械的で、緊迫した空気がうまく表現されていなかったとの声もありました。
このような作画の不安定さは、作品全体のクオリティを大きく左右する要因であり、視聴者の評価に直結しやすいポイントでもあります。
安定した画面作りが求められるアニメにおいて、こうしたブレは致命的とされることが多く、特に原作ファンからは「もっと丁寧に描いてほしかった」といった厳しい意見も見受けられました。
もちろん、すべての話数で作画が悪かったわけではなく、クオリティの高い回も存在しましたが、そのバラつきこそが「安定しない」「視聴する上で不安になる」という印象を強めてしまった原因の一つと言えるでしょう。
ひどい理由2:アクション演出の地味さ
原作ではテンポの良い殺陣や緊張感あるアクションが魅力でしたが、アニメでは演出や音響の迫力に欠け、戦闘シーンが淡々としていた印象です。
第12話の宇津帆のアジト突入シーンでも、もっと激しい演出が期待されましたが、盛り上がりに欠けたという声が多数ありました。
また、銃撃戦や肉弾戦の場面においても、カメラワークやカット割りに工夫が少なく、緊迫したシーンでの臨場感が伝わりにくいと感じた視聴者も多かったようです。
たとえば、第9話の鈴木との接触シーンでは、セリフの緊張感に比べて動きが単調で、原作で感じたスリルが再現されていないという意見もありました。
音響面においても、効果音の選択がやや控えめで、銃声や衝突音などのリアリティに乏しい部分がありました。
その結果、画面から伝わる圧力が薄まり、戦闘そのものが軽く見えてしまったという印象を受けた人も少なくありません。
これらの演出の弱さは、ファブルという作品にとって致命的とも言える要素です。
なぜなら、主人公・佐藤明の“殺しの技術”が見どころのひとつであるにもかかわらず、その魅力がアニメで十分に伝わらなかったからです。
視覚的・音響的な演出の強化がなされていれば、より多くの視聴者が作品世界に没入できた可能性が高いと言えるでしょう。
ひどい理由3:テンポの悪さ
原作に忠実であることが裏目に出てしまい、アニメでは1話ごとの進行がやや間延びした印象を与えました。
もちろん、これを評価する声もありますが、否定的な意見も多いです。
特に日常回では、ギャグパートの間が持たず、緊張感のないシーンが続いたことで「退屈」という感想も見られました。
さらに、物語の構成自体もテンポの悪さを助長していた要素の一つです。
序盤では主要キャラクターたちの紹介に多くの時間を割いたことで、ストーリーが本格的に動き出すまでの流れが遅く、観る側が感情移入しづらいという意見もありました。
また、原作では一気に読めるスピード感がある展開も、アニメでは間の取り方やBGM、セリフ回しによって冗長に感じられる場面がいくつか見られました。
特に第6話〜第9話にかけての日常と仕事風景が繰り返される構成では、サスペンスやアクションを期待していた視聴者が「進展がない」「間延びしすぎて飽きる」と感じたことが、SNS上でも話題となりました。
このように、原作の持つテンポ感をそのままアニメに持ち込んだことで、映像作品としてのリズムが損なわれたことが、視聴者の不満を招いた一因といえるでしょう。
アニメとしてのテンポの再設計がなされていれば、もっと多くの視聴者を惹きつけられた可能性が高いと考えられます。
ひどい理由4:キャラ描写の薄さ
漫画では心理描写が細かく丁寧に描かれていたキャラクターたちが、アニメではやや記号的で一面的に映ってしまい、「誰にも感情移入できなかった」という意見が多く見られました。
これは作品を作る上で、クリエーター側はかなり苦労することだと思います。
要するに、キャラクターにうまく命を吹き込めないと、記号的なものになってしまい、感情移入できないのです。
特に佐藤洋子に関しては、原作では奔放さと責任感の狭間で揺れる繊細な感情が描かれていたにもかかわらず、アニメでは単なる“酒好きのお調子者”として表現されがちで、その人間らしさが伝わりにくくなっていたのが惜しまれます。
また、清水岬の描写においても、原作では徐々に明の存在によって成長していく姿が感動的に描かれていたのに対し、アニメではその過程が断片的にしか描かれず、成長の実感が乏しくなっていました。
そのため、視聴者からは「感情の変化が唐突」「もっと丁寧に描いてほしかった」といった声が上がっています。
さらに、サブキャラクターたちも背景や動機が明かされることなく、物語の進行を支える装置として使われている印象が強く、「なぜこのキャラがここまで行動したのか分からない」といった疑問を抱いた視聴者も少なくありませんでした。
このように、キャラクターの内面や感情の流れがしっかりと描かれていないことで、物語の重みやリアリティが損なわれ、ドラマとしての魅力が十分に発揮されなかったのが、作品全体の評価を下げる一因となっています。
魅力1:斬新な設定とストーリー
「殺し屋が人を殺さず普通の生活をする」という設定は唯一無二で、サスペンスとギャグが共存する構成はやはり魅力的です。
暗殺者というシリアスな職業に従事していた人物が突然、日常生活に身を置くというギャップは、多くの視聴者の興味を引きました。
この設定の中で、佐藤明が見せる“プロ”としての哲学──例えば「殺さないからこそ難しい」という発想や、「完璧な普通」を追求する姿勢──は、単なるコメディやアクションでは終わらない深みを作品に与えています。
また、殺しの技術を極めた人物が、人との距離感や空気を読む難しさに直面する様子は、現代社会における人間関係の問題とも重なり、共感を呼びました。
さらに、明の生き方を通じて「何が普通なのか」「本当に強いとはどういうことか」といったテーマも浮き彫りになり、ただの娯楽作品にとどまらない哲学的な味わいを醸し出しています。
魅力2:声優陣の演技力
興津和幸さん、沢城みゆきさん、花澤香菜さんなど実力派声優の演技は高く評価されています。
それぞれのキャラクターに対する理解と表現力が高く、視聴者に深い印象を残しました。
特に、明の関西弁を自然に演じた興津さんには多くの称賛が寄せられました。
興津さんは、感情を抑えながらもどこか温かさを感じさせる明の声色を巧みに演じ、冷静なプロフェッショナルと人間味のある内面を同時に表現するバランス感覚が光っていました。
また、沢城さんが演じる佐藤洋子の奔放さや、時折見せる冷静な分析力も見事で、キャラクターに厚みを与えています。
花澤さんによる清水岬の演技は、繊細な感情の変化を丁寧に表現しており、岬というキャラクターが持つ誠実さや素直さが自然と伝わってくるものでした。
声優陣の演技力がキャラクターたちの魅力を底上げし、作品全体の完成度を大きく高めています。
魅力3:音楽と主題歌の良さ
オープニングテーマ「Professionalism feat. 般若」(ALI)やエンディングテーマ「Odd Numbers」(梅田サイファー)はHIPHOPベースで、作品の世界観に非常によくマッチしていました。特に若年層からの評価が高く、作品の魅力を音楽面からも強く支えています。
ALIによるオープニングは、クールで重厚感のあるビートとラップの融合が印象的で、主人公・佐藤明の内に秘めた緊張感や“プロ意識”を巧みに表現していました。
楽曲の歌詞もストーリーのテーマとリンクしており、「人を殺さずに生きる」ことの難しさや、自分を抑えながら生きる主人公の姿がメッセージとして響いてきます。
一方、エンディングテーマの「Odd Numbers」は、軽快でありながらどこか物悲しさを感じさせる曲調で、1話を見終えた後の余韻をじっくり味わえる構成になっています。
梅田サイファーの多様なフロウとメロディアスなビートは、視聴者の心を引き込むだけでなく、物語の舞台である大阪との親和性も高く、地域性を意識した楽曲選びにも好感が持てます。
また、劇伴(BGM)に関しても、アクションシーンや感情の起伏に合わせた選曲が巧みで、作品の緊張感を引き立てる重要な要素となっています。
音楽面でのこだわりが強く感じられる本作は、アニメファンのみならず音楽ファンからも注目を集める存在となりました。
魅力4:後半にかけての盛り上がり
中盤以降の宇津帆編では、明の葛藤や、ヒナコとの関係性の変化が丁寧に描かれ、ストーリーが一気に緊張感を増していきます。
それまでの日常描写が多かった前半と比べ、後半はサスペンス要素が強くなり、視聴者を引き込む展開が続きました。
明が非殺の信念を貫きながらも、仲間を守り悪に立ち向かう姿には、重みとリアリティがありました。
また、ヒナコの内面の変化や成長も描かれ、視聴者にとって共感できる人間ドラマが展開されていきます。
彼女が抱える過去のトラウマと、それを乗り越えるきっかけとして明との交流が活きる構成は、物語全体に深みをもたらしました。
クライマックスでは、宇津帆との対決を通じて明の「人を殺さずに解決する力」が試され、緊張感あふれる場面が連続します。
アクションや心理戦も含め、これまでの溜めが一気に爆発するような展開に、原作ファンからも「納得の終わり方だった」「後半で評価が変わった」という声が多く寄せられました。
「やっと面白くなってきた」「後半で巻き返した」との声もあり、物語の終盤で本作が持つ本質的な魅力がより強く感じられるようになったのは、まさにこの宇津帆編以降の構成力と演出力の成果と言えるでしょう。
総括:ポイント

- 作画や演出にばらつきがあり、特に前半は物足りなさが目立ち、視聴者の離脱を招いた可能性がある。
- 一方で、「殺し屋が殺さずに生きる」という斬新な設定や、人間ドラマをベースにしたストーリーは唯一無二の魅力を放っている。
- 実力派声優陣の演技力により、キャラクターの存在感が大きく増幅されており、視聴者の共感を呼ぶ場面も多数存在する。
- 音楽面のセンスも抜群で、HIPHOPを軸にした主題歌や劇伴が作品のスタイリッシュさと深みを引き立て、若年層からの支持も獲得。
- 中盤以降は宇津帆編の緊張感やドラマ性が高く評価され、終盤にかけてストーリーが大きく動き、視聴者の満足度が向上した。
- 今後、第2期で演出や構成の練り直しがなされれば、原作ファンのみならず新規視聴者からの評価もより一層高まる可能性がある。
アニメ『ファブル』は、確かに一部で”ひどい”と評される理由も存在しますが、それを補って余りあるだけのポテンシャルを秘めた作品です。
物語のテーマ性、演出、キャスト、音楽といった多面的な魅力を再確認しながら、今後の続編や関連展開に期待を寄せつつ、改めて本作を見直してみることを強くおすすめします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

アニメ・映画が大好きで毎日色んな作品を見ています。その中で自分が良い!と思った作品を多くの人に見てもらいたいです。そのために、その作品のどこが面白いのか、レビューや考察などの記事を書いています。
詳しくはこちら
コメント