「Die With a Smileって、進撃の巨人を観たブルーノ・マーズが作った曲らしい」――そんな情報がTikTokなどで広まり、気になって検索した人も多いはずです。
たしかにこの曲は、終末、愛、別れといったテーマを歌っており、進撃の巨人の最終回やエレンとミカサの関係にも重なる部分があります。
しかし調べてみると、レディー・ガガやブルーノ・マーズが進撃の巨人に触れた公式発言はなく、彼らが語った影響源は1960〜70年代の音楽文化のみ。つまり、アニメから直接インスピレーションを受けたという証拠はありません。
それでもこの曲が「進撃の巨人にぴったり」と感じられる理由はなぜなのでしょうか?本記事では噂の真偽、歌詞の背景、ファンが感じた共鳴ポイントを徹底解説します。
『Die With a Smile』と「進撃の巨人」との関連性を検証
ブルーノ・マーズとレディー・ガガによるデュエット曲『Die With a Smile』は、淡くて切ないメロディーと、「世界の終わりでも君のそばにいたい」という歌詞が話題になりました。
特にTikTokでは、「この曲はアニメ『進撃の巨人』から影響を受けて作られたらしい」という噂が急速に広まりました。
エレンとミカサのラストシーンにぴったり重なる編集動画も多く投稿され、ファンの間では“公式ソングみたい”と感じる人も少なくありません。
ですが、本当に曲の制作に『進撃の巨人』が関係しているのでしょうか。
ここからは噂の発端や、実際にブルーノ・マーズが進撃を観たのか、そしてアーティスト本人たちが語った影響源について整理していきます。
TikTok発・“進撃から着想”説はどう広まった?
噂が広まったきっかけはTikTokに投稿されたファン動画でした。
『Die With a Smile』のサビ部分に、アニメ最終話でエレンとミカサが別れを迎えるシーンや、幼少期の3人(エレン・ミカサ・アルミン)が描かれた回想を組み合わせた編集動画が投稿されました。
特に「もし世界が終わるとしても、君のそばで笑って死にたい」という歌詞が、巨人との終わりなき戦いに挑むキャラクターたちの感情にリンクしているように見えたのです。
動画のコメント欄には「ブルーノ・マーズ、進撃全話観たらしい」「ガガがエレンの気持ちを描いたって本当?」などの声が並びました。
その後、その投稿が他のSNSにも転載され、真偽が確かめられないまま話が一人歩きしていきました。
あくまでファンによる“連想”や“解釈”が出発点であり、公式ニュースではありませんでした。
ブルーノ・マーズは進撃の巨人を観たのか?証拠を探る
では本当にブルーノ・マーズが『進撃の巨人』を観て作曲したのでしょうか。
結論から言うと、信頼できる証拠は見つかっていません。
ブルーノ・マーズ本人がインタビューやSNSで「進撃の巨人を観た」「影響を受けた」と語った記録もありません。
レディー・ガガも同じく、アニメや漫画作品について触れた発言は確認されていません。
海外の音楽雑誌や『ローリングストーン』『ビルボード』などの取材では、二人が曲の制作背景として話しているのは全く別の内容です。
例えば、ブルーノ・マーズが曲のデモを作り、レディー・ガガを深夜のスタジオに招いたこと。
その夜のうちに歌詞とレコーディングが完成したこと。
そういった制作秘話は語られていますが、「進撃の巨人」は一度も名前が出ていません。
しかも、この曲が録音されたのは2024年。
進撃の巨人アニメ最終話が放送されたのはそれより前ですが、タイミングが近かっただけで直接の関係は示されていません。
つまり、観た可能性を完全には否定できないものの、それを裏づける情報はゼロなのです。
公式情報で語られた影響源は60〜70年代の音楽だけ
それでは、『Die With a Smile』は何から影響を受けて作られたのでしょうか。
インタビューの中で明言されているのは「1970年代のデュエット音楽」や「古いラブバラードの空気」です。
レディー・ガガは「カーリー・キングやジェームス・テイラーの時代の響きに近づけたかった」と語っています。
ブルーノ・マーズもまた、レトロな音作りを好むアーティストとして知られています。
以下の表に、公式で語られた情報と噂との違いを整理します。
項目 | 公式で確認できる情報 | 噂・SNSで拡散された情報 |
---|---|---|
影響源 | 1960〜70年代の音楽、デュエット文化 | 進撃の巨人からの影響 |
制作エピソード | マリブのスタジオで一晩で完成 | ブルーノが進撃を全話視聴し作曲 |
本人の発言 | アニメや漫画への言及なし | TikTok動画により「進撃由来説」が拡散 |
信憑性 | 音楽誌・インタビューで確認可能 | ファンの憶測に基づくもの |
こうして並べてみると、進撃の巨人に影響されたという説は、あくまでファンの“感じ方”から広まっただけであり、公式な根拠は存在しません。
ただし、だからといって曲と進撃の相性が悪いわけではありません。
むしろ偶然だからこそ、より強く心に刺さるのかもしれません。
『Die With a Smile』と「進撃の巨人」との関連性を検証
前半では、TikTokをきっかけに広まった“進撃の巨人がこの曲の元になっている”という噂や、その信憑性について触れました。
ここからは、さらに深掘りしていきます。
レディー・ガガとブルーノ・マーズ本人が語った内容、噂が信じられやすかった理由、そしてなぜ信憑性が薄いと言えるのかを整理していきます。
レディー・ガガとブルーノ・マーズのコメント内容まとめ
まず重要なのは、本人たちがこの曲についてどんな発言をしているかです。
二人とも『進撃の巨人』については一切語っておらず、かわりに制作の裏側や、曲に込めた思いを語っています。
ブルーノ・マーズは「夜遅くにスタジオで作ったデモをガガに聴かせた」と話しています。
するとガガはその場で曲に参加することを決め、2人で歌詞を完成させたと語っています。
ガガは「彼の作る音楽は説明できないほど素晴らしい」「一緒に歌って曲が魔法みたいに完成した」と話しています。
さらに、ガガはこの曲について「1970年代のデュエットスタイルのような、感情をまっすぐ届ける歌にしたかった」とも語っています。
ブルーノ・マーズも同じように「全部生の音で録りたかった」「昔のラブソングのような温度感を目指した」と語っています。
つまり、二人の言葉から見えてくるのはアニメや漫画の影響ではなく、音楽の原点やアナログな制作姿勢に対する敬意です。
なぜこの噂が信じられやすかったのか?
それでも多くの人が「進撃から影響を受けてるっぽい」と感じてしまったのには理由があります。
その一番の理由は、曲の持つテーマと進撃の巨人の世界観があまりにも自然に重なるからです。
歌詞の中では、「明日が約束されていなくても、君のそばにいたい」「世界の終わりでも抱きしめたまま笑って死にたい」と歌われています。
これは、エレンとミカサの最終場面や、巨人との戦いに立ち向かう兵士たちの覚悟に通じるものがあります。
さらに、TikTokやYouTubeでは、この曲とアニメの映像を組み合わせた編集動画(いわゆるMAD)が大量に作られています。
特に最終話でミカサがエレンと最後の別れを交わすシーンや、幼いころの3人が過ごした平和な時間を映すシーンは、曲の静かなピアノの音と見事に重なります。
視聴者は映像と音楽が感情的にリンクしているのを見て、「これは影響を受けて作られたんじゃないか」と思ってしまいやすくなったのです。
曲と作品の雰囲気が合っているという事実が、噂をより現実味のあるものにしてしまったと言えます。
信憑性が薄いと判断できる理由
ただし冷静に情報を整理していくと、この噂には信用できる根拠がほぼありません。
大きく分けると、次のような理由があります。
観点 | 内容 |
---|---|
本人の発言 | ガガもマーズも『進撃の巨人』やアニメ作品に触れていない。 |
公式情報 | 制作背景として語られるのは1960〜70年代の音楽文化のみ。 |
メディア取材 | 音楽誌(ビルボード、ローリングストーンなど)でも進撃の名前は一切登場しない。 |
噂の出どころ | TikTokのファン編集動画。一次情報ではなく、憶測に基づく。 |
さらに、歌詞の内容は普遍的な愛や別れを描いており、特定の作品だけを思わせるものではありません。
「誰にも明日は約束されていない」「最期の夜だと思ってあなたを愛したい」というフレーズは、戦争映画や恋愛映画にも当てはまるテーマであり、進撃の巨人にだけ特別に当てはまるわけではありません。
また、ブルーノ・マーズとレディー・ガガはどちらも、自分たちの音楽に関する発言を大切にするアーティストです。
もし特定の作品から影響を受けていたなら、むしろ堂々と語っているはずです。
それが語られていないということは、やはり偶然の一致である可能性が高いと考えられます。
とはいえ、「偶然だけど、感情が重なる」というのもまた音楽の魅力です。
進撃のファンがこの曲に涙するのはおかしなことではありません。
ただ、“公式に進撃の曲”と思い込む前に、情報の根拠を冷静に見つめることも大切です。
『Die With a Smile』と進撃の巨人:進撃ファンの心に刺さるのか?
『Die With a Smile』と『進撃の巨人』。
この二つは、公式にはまったく関係のない作品です。
それでもなぜ、多くの視聴者やファンが「まるでエレンとミカサの物語みたい」と感じてしまうのでしょうか。
その理由を丁寧にたどると、曲の歌詞が持つメッセージ、作品のラストの余韻、そしてファンの手によって作られた動画文化が大きく関わっています。
ここからは、曲と物語が重なって感じられる理由を、具体的なシーンや歌詞とともに見ていきます。
歌詞の核心「世界の終わりでも君のそばにいたい」
『Die With a Smile』の中で最も象徴的なフレーズは、「もし世界が終わりを迎えるとしても、君のそばにいたい」です。
この言葉には、未来がどうなるか分からない中で、それでも大切な人と共にありたいという切実な思いが込められています。
これは、ただの恋愛の歌というよりも、生と死の狭間にいる人間の本音に近いものです。
この想いは進撃の巨人にも強く流れています。
例えば、エレンが幼い頃、外の世界を見たいと語りながらも、ミカサとアルミンという仲間の存在が心の支えになっています。
またミカサの「あなたがいれば、私はなんでもできる」という言葉は、歌詞の「君と最期の夜を過ごしたい」という想いに通じるものがあります。
歌詞を読むと、単に“愛してる”と伝えるだけではなく、「生き残ることよりも、そばにいることを選びたい」という覚悟が感じられます。
これは巨人との戦いに身を置きながらも、自分の心だけは守ろうとするキャラクターたちの姿と重なります。
エレンとミカサ、または最終回とのリンク
特に『進撃の巨人』の最終回では、この曲と驚くほど相性の良いシーンが描かれています。
エレンは地鳴らしを止め、ミカサの腕の中で静かに息を引き取ります。
その瞬間、世界は壊れ続けているのに、二人の間だけは時間が止まったようです。
ミカサは涙をこらえながらも、彼の最後の瞬間に微笑みを返します。
まさに「笑顔のままこの世を去りたい」という歌詞そのものです。
さらに、幼少期の3人が木の下で昼寝をしている回想シーンも多く使われます。
「明日は約束されていないから、今日を最期だと思って愛する」という歌詞は、平和な日々が突然奪われた3人の運命と重なります。
視聴者の中には、「ブルーノ・マーズはこの作品を観て書いたんじゃないか」と感じる人も多いでしょう。
しかし実際はそうではなく、曲の普遍的なテーマが、物語の極限の状況と自然に共鳴しているだけなのです。
ファンメイド映像(MAD)で曲が拡散した背景
この曲が進撃ファンの間で広く知られるようになった理由のひとつに、ファンメイドのMAD動画があります。
TikTokやYouTubeで、『Die With a Smile』をBGMにしながら進撃の巨人の名シーンをつなげた動画が次々に投稿されました。
その中でも、最終話のミカサがエレンを抱きしめるシーンや、仲間たちと過ごした短い安息の時間を切り取った動画は特に人気です。
音楽と映像がシンクロすると、人は“意味がある”と感じてしまうものです。
ピアノの静かなイントロに合わせて、夕暮れの木の下で眠るエレンとミカサの姿。
サビの「君のそばで笑って死にたい」という部分で、巨人化するエレンに向かって剣を振るうミカサの葛藤。
これらの組み合わせが、多くの視聴者の感情を揺さぶりました。
ファン動画のコメント欄には、「公式エンディングより泣ける」「この曲のために進撃は作られたのでは?」といった声が並びました。
もちろんそれは誇張ですが、それほどまでに曲と作品が感情のレベルで重なり合ったということです。
つまり、この曲と『進撃の巨人』が結びつけられて語られるのは、ただの偶然ではありません。
歌詞が持つ“終わりと愛の物語”という普遍的なテーマ。
進撃の最終章が描いた“救われない世界での最後の優しさ”。
そして、ファンの感情によって紡がれた映像表現。
それらが重なった結果として、今のような広がりを見せたのです。
レディー・ガガ×ブルーノ・マーズの歌声が持つ“諦めと祈り”
『Die With a Smile』が単なる恋愛ソングではなく、深い余韻を残すのは、二人の歌声が持つ温度と感情の幅にあります。
ブルーノ・マーズは柔らかく始まり、次第に声を震わせながら「君のそばで笑って死にたい」と歌います。
それは、運命に抗いながらも逃れられないことを知っている人の声です。
一方、レディー・ガガの声は強く、でもどこか壊れそうで、「怖くても、あなたとなら最後を迎えたい」と語りかけているようです。
まるでミカサがエレンを想うときのように、諦めと祈りがひとつになった響きです。
この“諦めきれない希望”は進撃の世界と驚くほど似ています。
人類は巨人に追いつめられながらも剣を握ることをやめません。
愛している人のために死地へ向かうキャラクターたちの心と、この歌の感情はとても近いところにあります。
もし公式エンディングだったら…と想像したくなる理由
もしアニメ『進撃の巨人』最終話のエンディングで、この曲が流れたとしたら。
ミカサがマフラーを巻き直し、涙をこぼしながらエレンの首にそっと触れる瞬間に、この曲のサビがかかったら。
そう想像するだけで胸が苦しくなる人は多いはずです。
理由は大きく3つあります。
感じる理由 | 内容 |
---|---|
歌詞の一致 | 「世界の終わりでも君のそばにいたい」という歌詞が、ミカサの愛と重なる。 |
映像との相性 | 静かなピアノ音と、最終回の淡い色彩・沈黙の演出が重なりやすい。 |
余白を残す終わり方 | ハッピーエンドではないけれど、愛を信じたまま終わる余韻が同じ方向を向いている。 |
だからこそ、ファンメイド動画が公式ではないと分かっていても涙が出てしまうのです。
本当に“もしこれがエンディングだったら”と考えてしまうほど、映像と音楽の呼吸がぴったりと合ってしまう瞬間があります。
筆者の感想:偶然では片づけられない感情の重なり
これはあくまで個人的な感想ですが、『Die With a Smile』と進撃の巨人の関係は“偶然の一致”だけでは片づけられない気がします。
もちろん、ガガもマーズも進撃の影響を受けたとは語っていません。
でも、作品の根っこにある「愛してしまったから、苦しい」「全部終わってもいいから、そばにいたい」という気持ちが、どちらにも流れているのです。
進撃最終話で、ミカサがエレンの首を抱き寄せるシーン。
その直後、静かな風だけが流れ、何も語られません。
あの沈黙の中に、『Die With a Smile』の歌声が入り込んでくるような感覚があります。
たとえ偶然だとしても、人の心はそこに意味を感じてしまうものなのだと思います。
それでも公式は無関係――結論として信じすぎない姿勢を
ここまで感情的な共鳴について語ってきましたが、最後は冷静に結論を出す必要があります。
調べられる限り、レディー・ガガもブルーノ・マーズも『進撃の巨人』について言及した記録はありません。
インタビューで語られるインスピレーションは、60〜70年代の音楽や古いデュエット文化だけです。
つまり、この曲と進撃の巨人のつながりは「ファンが見つけた感情の重なり」であり、「公式な関係」ではありません。
魅力的な解釈や感動する気持ちは否定する必要はありません。
ただし、それを“事実”として信じすぎるのは危険です。
音楽もアニメも自由に感じていい。
だけど、誰かが勝手に作った噂と、アーティスト自身の言葉は区別しておきたい。
それが、作品や曲を本当の意味で大切にする姿勢だと思います。

アニメ・映画が大好きで毎日色んな作品を見ています。その中で自分が良い!と思った作品を多くの人に見てもらいたいです。そのために、その作品のどこが面白いのか、レビューや考察などの記事を書いています。
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