ブレークバックは打ち切り？作者KASAが描くテニス漫画の現在地

「『ブレークバック』って打ち切りになったの？」
そんな疑問を抱いた読者は多いはず。SNSや掲示板では、「掲載ペースが落ちた」「最終回っぽい展開が続く」といった声も散見されます。

しかし実際には、『BREAK BACK』は現在も『月刊少年チャンピオン』（秋田書店）で連載中。2025年8月には第22巻が刊行され、23巻の発売も2025年12月8日に予定されています。

元テニスコーチ・プレイヤーとして活躍した作者KASAが描く、リアルなテニス心理戦と人間ドラマは、今も多くのファンを惹きつけ続けています。
本記事では、「打ち切り説」の背景から、連載継続の事実、そして作品の魅力や今後の展開までを丁寧に解説します。

ブレークバックは打ち切りの噂は本当？

近ごろ、SNSや掲示板などで「ブレークバックって打ち切りになったの？」という声を見かけるようになりました。
テニスをテーマにしたこの作品は、主人公やライバルたちの熱い試合だけでなく、選手としての心の揺れや現実との向き合い方までを丁寧に描いています。
それだけに、物語の流れが一時的に止まったように感じた読者が、「もしかして終わったのでは？」と不安になったのかもしれません。

しかし、結論から言えば『BREAK BACK（ブレークバック）』は打ち切りではありません。
作者のKASAさんは今も「月刊少年チャンピオン」で連載を続けています。
2025年8月には第22巻が発売され、さらに23巻が2025年12月8日に発売予定です。
つまり、物語はまだ続いており、物語のラストスパートに向けて新たな展開が動き出しているところなのです。

ここからは、なぜ「打ち切り」と言われるようになったのか、その背景を探っていきましょう。

ネットで「打ち切り」と言われ始めた理由

まず、「打ち切り」という言葉がネットで広まり始めたのは、物語の展開が大きく動いた時期と重なります。
『ブレークバック』は、主人公・原田一颯（いぶき）がケガや挫折を乗り越え、再びテニスの世界に戻るというドラマチックな物語です。
作品の中では、プロを目指す若者たちの苦悩や勝負の残酷さがリアルに描かれています。

読者の中には、試合の合間に挟まれる静かなエピソードや内面描写を「展開が遅い」と感じる人もいました。
特にSNSでは、「最近試合が進まない」「大会が終わってから話の方向が見えにくい」といった声もありました。
このような反応が、「もしかして終わるのでは？」という誤解につながったのです。

また、漫画の連載が長期にわたると、どうしても一時的な掲載の間が空くことがあります。
そのたびにファンの間では「次号に載っていなかった」「もしかして打ち切り？」という噂が立つものです。
特に『ブレークバック』は現実のテニスのように、細かな心理戦やフォームの動きまで描かれるため、描写の密度が高く、制作に時間がかかることもあります。

SNSで拡散された情報の中には、実際の事実とは違うものも多くありました。
例えば、「連載ページが少なくなった」「最終回っぽいセリフがあった」という読者の印象が、そのまま「打ち切り説」として拡大していったケースです。
しかし、これはどの連載作品にもよくある誤解であり、特に人気がある作品ほど噂が広がりやすい傾向があります。

実際にコミックスを追っていくと、各巻の最後には「次巻へ続く」と明確に予告が掲載されています。
2025年8月に発売された第22巻でも、物語の核心に近づく描写があり、まだ終わりを迎える様子は見られません。

休載時期や掲載誌の変化が誤解を生んだ？

「打ち切り」と誤解されやすかったもう一つの理由は、休載のタイミングや掲載誌の印象です。
『ブレークバック』は2018年1月号から秋田書店の「月刊少年チャンピオン」で連載が始まりました。
この雑誌は、月刊誌の中でもスポーツ漫画に力を入れており、他作品とのバランスも考えながら構成されています。

そのため、号によっては掲載位置が変わったり、ページ数が減ることがあります。
これを見た一部の読者が「扱いが小さくなった」「人気が落ちたのでは」と受け取ってしまったのです。
しかし、実際には連載の継続と人気はしっかり維持されています。

また、作者のKASAさんはテニスコーチ出身という異色の経歴を持っています。
そのため、作品作りには「実際のテニス理論を物語に落とし込む」という工程があり、描く前の取材や構成に時間をかけていることも知られています。
一時的に休載が入ったときも、取材や試合のリサーチをしていた可能性が高いのです。

たとえば、物語中では主人公が試合中に「ラリーの間に呼吸を整える」シーンや、「相手の重心を崩すためにあえて緩いボールを打つ」シーンなど、プロの技術が細かく描かれています。
これは単なる想像では描けない、経験者ならではの表現です。
こうしたリアルな描写の裏に、長い準備期間が必要であることを考えると、休載や掲載間隔はむしろ作品の質を保つための時間だと言えるでしょう。

以下に、実際の連載と単行本発売の流れを表にまとめました。

年	主な動き	備考
2018年	月刊少年チャンピオンで連載開始	第1巻発売（4月）
2019〜2020年	安定したペースで刊行	年4冊前後
2021〜2022年	話の転換期・描写が深くなる	心理戦中心の展開
2023年	試合再開・新キャラ登場	新章スタート
2024年	20〜21巻刊行	物語のクライマックスへ
2025年	22巻発売・23巻発売予定（12月）	連載継続中

このように、連載は今も途切れることなく続いています。
「打ち切り」という言葉は、少しでも掲載が止まると出てしまいがちですが、実際には作品は着実に前進しています。

『ブレークバック』は、テニスという競技の厳しさや人間ドラマをリアルに描き続ける、貴重なスポーツ漫画です。
作者のKASAさんが目指しているのは、「勝つこと」だけではなく、「戦い続ける姿そのもの」の物語。
だからこそ、連載が続いている限り、物語の「勝負」もまだ終わっていないのです。

作者KASAのコメント・SNS発信の有無

「打ち切りでは？」という噂が広まったとき、ファンが気にしたのは作者KASAさんの発信でした。
今の漫画業界では、作者がSNSで作品の進捗や感謝の言葉を伝えることが多くなっています。
そのため、KASAさんがSNS上であまり発信していないことが、読者の不安を少し大きくしたとも言われています。

しかし、KASAさんはもともと頻繁にSNSで情報を出すタイプではありません。
テニスコーチとしての経験を持ち、作品の制作には取材や構成をしっかり行う方なので、SNSで軽い発言をするよりも、作品で語るという姿勢を大切にしています。
そのため、表立ったコメントは少ないものの、作品内の描写からは「ブレークバック」への情熱が伝わってきます。

たとえば、主人公・原田一颯が再起をかけて立ち上がるシーンでは、まるで作者自身が「まだ終わらない」と語っているかのように感じられます。
試合で敗北した直後の悔しさや、再びラケットを握るまでの心の動きを丁寧に描くことで、「挑戦し続けることの意味」を読者に伝えています。
この描写のリアルさは、KASAさんが現役のテニスプレイヤー時代に感じた“負けの痛み”や“再スタートの勇気”をもとにしているように思えます。

また、KASAさんの過去のインタビューでは、「テニスを知らない人にも、勝負の面白さと人の強さを描きたい」と話していました。
この言葉の通り、『ブレークバック』では勝ち負けの結果よりも、その過程で生まれるドラマが大切にされています。
つまり、SNSの発信がなくても、作品そのものが作者のメッセージなのです。

秋田書店『月刊少年チャンピオン』での連載状況

『ブレークバック』は、2018年1月号から秋田書店の「月刊少年チャンピオン」で連載がスタートしました。
この雑誌は、『弱虫ペダル』などスポーツ系の人気作品を多く掲載しており、作品ごとに長期連載の実績があります。
その中で『ブレークバック』はテニスという競技をリアルに描く珍しい作品として注目されてきました。

一部の読者から「掲載位置が下がった」「ページ数が減った」という声もありましたが、これは雑誌の構成上の調整によるもので、打ち切りとは無関係です。
月刊誌の場合、各号で掲載順やボリュームが変動するのはよくあることです。
実際、『ブレークバック』は2025年現在も毎号しっかりと掲載されています。

また、秋田書店の公式サイトでも最新巻の情報が更新されており、連載が継続していることが確認できます。
単行本の巻数も順調に増えており、2025年8月には22巻が刊行されました。
これは連載が止まっていない確かな証拠です。

作品の中身を見ても、明らかに“物語の終盤”に向かって動いていることがわかります。
たとえば、ライバルである神崎との再戦が描かれたエピソードでは、互いの成長と過去の因縁がぶつかる展開が印象的です。
「勝つために何を犠牲にするのか」というテーマが強くなり、これまでの物語の集大成のような緊張感があります。
このようなクライマックスに向かう描写は、打ち切りではなく、計画的な構成の中で物語が進んでいる証拠といえるでしょう。

さらに、雑誌内では新章開始を予感させるカットや次号予告もあり、連載がまだまだ続くことを示しています。
秋田書店が公式に終了を告知していないことからも、作品は現在進行形で続いていると断言できます。

2025年現在も続く！最新22巻・23巻の発売スケジュール

『ブレークバック』は、コミックスの発売ペースを見ても連載が安定していることがわかります。
最新22巻は2025年8月7日に発売されました。
この巻では、主人公が再び大舞台に挑むシーンが描かれ、緊張と期待が入り混じる展開になっています。
ファンの間では「この試合が物語の転換点になるのでは」と注目が集まりました。

そして、次巻となる第23巻は2025年12月8日に発売予定です。
秋田書店の公式サイトでは既にISBNも登録されており、発売が確定しています。
このスケジュールが示す通り、連載は止まっておらず、着実に進行しています。

以下に、直近の単行本発売スケジュールをまとめました。

巻数	発売日	出版社	備考
第20巻	2024年11月8日	秋田書店	クライマックス直前編
第21巻	2025年3月7日	秋田書店	新展開のスタート
第22巻	2025年8月7日	秋田書店	大会再開・緊張の試合描写
第23巻	2025年12月8日（予定）	秋田書店	最新刊、物語の核心へ

このように、発売スケジュールが定期的に組まれていることは、作品が安定して制作されている証拠です。
もし打ち切りであれば、このような先々の発売予定は立ちません。
また、2025年8月に発売された22巻では、ラストページで「続く」という言葉がはっきりと記されており、次巻への期待を残す構成になっています。

22巻の中では、主人公・一颯が再び立ち上がるシーンが特に印象的です。
敗北を経て「なぜ自分はテニスをするのか」という問いに向き合う描写は、作品のテーマそのものを象徴しています。
観客の歓声の中で、彼が小さく拳を握る場面には、読者も思わず胸が熱くなるでしょう。
このような丁寧な心理描写が続いていることからも、作品が途中で終わる気配はまったくありません。

連載のリズムを保ちながら、ストーリーの厚みを増している『ブレークバック』。
KASAさんの描くリアルなテニスの世界は、これからさらに熱を帯びていくはずです。
「打ち切り」という言葉とは無縁に、確かな筆致で物語は続いています。

ブレークバックの打ち切り説の真相と作品の今

「ブレークバックはもう終わるのでは？」
そんな声が一部の読者から聞こえてくるようになりました。
しかし実際のところ、『BREAK BACK（ブレークバック）』は打ち切りではなく、現在も連載が続いています。
むしろ最近では、物語が新たな段階に入ったと感じられる描写が増えており、KASAさん自身の作風にも深みが増しています。

ここでは、まず作品そのものの特徴を振り返りながら、「終わりそう」と感じられた理由、そしてそこに見える“新章”の気配について解説していきます。

そもそも『BREAK BACK』とは？元テニス選手が描くリアルな世界

『BREAK BACK』は、元テニスプレイヤーでありテニスコーチでもあったKASAさんが描く、本格テニス漫画です。
この作品の最大の特徴は、試合中の「一瞬の判断」や「心の揺れ」を現実のテニスのように描いているところにあります。

物語の主人公は、プロテニス選手として一度は挫折を味わった青年・原田一颯（いぶき）。
彼は過去の失敗や怪我を抱えながらも、再びラケットを手にして挑戦を始めます。
ただ勝つためではなく、「もう一度、自分を信じるため」の戦い。
この人間的なテーマが、読者の共感を呼び続けています。

作中では、単なるスポーツの勝負だけでなく、試合の裏にある心理戦や技術の細やかさまで表現されています。
たとえば、相手の体の傾きから次のショットを予測する場面や、試合中に心拍を整える描写など、まるで実際のプロツアーを見ているかのような臨場感があります。
それもそのはずで、KASAさん自身がテニスの国内ランキング84位という経歴を持つリアルな競技経験者なのです。

さらに、アルゼンチンでのテニス留学時代に得た知識や感覚が、作品の中で生かされています。
登場キャラがスペイン語混じりのセリフを使ったり、南米スタイルのラリー戦を取り入れたりするのも、KASAさんならではの演出です。
このリアルさこそ、『ブレークバック』が他のスポーツ漫画と一線を画す理由です。

読者の「終わりそう」「完結っぽい」との声の背景

では、なぜ「打ち切り」「完結間近」といった声が出たのでしょうか。
その背景には、物語のトーンや展開の変化が関係しています。

連載初期の『ブレークバック』は、挫折からの再起という王道ストーリーでした。
一颯が再びコートに立ち、周囲の人々との関係を築きながら強くなっていく姿は、まさに「青春の再スタート」という印象です。
しかし中盤以降、物語はよりシリアスで内面的な描写が増えていきます。

特に印象的なのは、一颯がライバルの神崎と再戦する場面です。
以前のような勢い任せのプレーではなく、「勝つとは何か」を見つめ直す姿が描かれています。
その静かな描写が、まるで物語の終盤のような雰囲気を生み出したのです。
ファンの中には、「このまま完結してもおかしくない」と感じた人も少なくありませんでした。

また、2023年から2024年にかけて一時的に休載があったことも、誤解を広げた要因の一つです。
月刊誌という性質上、取材や制作スケジュールの調整で休みが入ることは珍しくありませんが、静かな展開と重なったことで「終わるのでは？」という憶測が広まりました。

SNSでは「最近掲載が少ない」「展開が落ち着いてる」といった声も見られましたが、実際にはその時期にキャラクターの成長や心の整理が丁寧に描かれており、むしろ物語の再構築期間だったといえます。

たとえば、一颯が壁打ち練習をするシーンでは、ボールを打ちながら「この音が、自分の限界を教えてくれる」とつぶやく場面があります。
その描写には、スポーツ漫画を超えた“人間ドラマ”としての深さがあります。
こうしたトーンの変化が、読者に「終わりの気配」を感じさせたのかもしれません。

作画・テーマの変化に見える“新章”の兆し

実は、『ブレークバック』の作画とテーマには、2024年ごろから明確な変化が見られます。
それは「終わり」ではなく、「新しい始まり」を感じさせるものでした。

まず、作画面ではキャラクターの表情や陰影の描き方がより繊細になっています。
序盤ではスピード感のあるコマ割りや動きの描写が中心でしたが、最近は人物の内面を映し出すような静かな構図が増えました。
たとえば、一颯が試合前にコートを見つめる場面では、背景の空の色や風の描写で心情が伝わるほど緻密になっています。
この変化は、KASAさんが「勝負そのものよりも、そこに生きる人の感情を描く段階」に入ったことを示しています。

また、テーマも「勝利」から「継続」へと変化しています。
以前の一颯は「勝ちたい」という思いで動いていましたが、今では「テニスと向き合う自分を失いたくない」と語るようになります。
その言葉の裏には、挫折を経験した人だけが知る痛みと覚悟があります。
このテーマの変化は、まさに新章のスタートを感じさせるものです。

読者の間では、「今のブレークバックは大人っぽくなった」「スポ根から人生ドラマに変わってきた」との声も多く聞かれます。
作品としての深みが増した今こそ、連載は“続いている途中”なのです。

下の表は、連載の変化を時期ごとにまとめたものです。

時期	主な展開	テーマの変化	作画の特徴
2018〜2019年	一颯の再起・挑戦編	「再スタート」	動きの勢い重視
2020〜2022年	ライバルとの激戦期	「勝利への執念」	スポ根要素強め
2023〜2024年	内面描写中心の章	「自分との対話」	陰影と構図が繊細化
2025年〜現在	再始動・成熟期	「継続する勇気」	心理描写が中心

このように、『ブレークバック』は作品として進化を続けています。
「打ち切り説」は、変化の途中に感じた“静けさ”が生んだ誤解にすぎません。
物語は確かに続いており、KASAさんのペンはまだコートの上を走り続けています。

テニス描写が“本物すぎる”と話題に

『BREAK BACK（ブレークバック）』の魅力の一つは、何といっても「テニス描写のリアルさ」です。
読者の中には「まるで本物の試合を見ているようだ」と感じる人も多く、テニス経験者からも高い評価を得ています。

作者のKASAさんは、かつてテニスプレイヤーとして全国を回り、神奈川県の国体強化選手にも選ばれた経験を持っています。
そのため、ラケットの角度やスイングの軌道、ボールの回転の表現にまで細かいこだわりが見られます。
たとえば、主人公・原田一颯が相手の強烈なスピンショットを受ける場面では、打球音が「パシッ」ではなく「グッ」と描かれています。
これは、スピンボールを面で受けるときの独特の重さをリアルに再現したものです。

また、試合中の心理描写も本物の選手目線で描かれています。
「サーブを入れなければ」「リターンを返さなければ」といった焦りではなく、「この1球で流れを変えられる」というメンタルの切り替え方が具体的に表現されています。
プロの世界を知るKASAさんだからこそ描ける、プレイヤーの“頭の中”がリアリティを生んでいるのです。

さらに、作中の戦術も実際のプロテニスに基づいています。
たとえば、スライスショットを多用して相手のリズムを崩す「ディフェンス・リズム戦法」や、ベースライン後方から一気に前へ詰める「リバースチャージ」など、現実の大会で使われる戦略が登場します。
こうした具体的な描写が読者に“本物のテニス”を感じさせる理由です。

物語の魅力：勝負の裏にある人間ドラマ

『ブレークバック』はスポーツ漫画でありながら、ただ勝ち負けを描くだけの物語ではありません。
試合の裏には、選手たちの人生や心の葛藤が常に描かれています。

主人公の一颯は、かつてプロとして大きな期待を受けながらも、ケガと挫折によって一度はテニスから離れました。
その経験があるからこそ、彼は再びラケットを握ることに恐れを感じながらも、少しずつ前に進んでいきます。
彼の姿は、「夢を追うことの苦しさと、もう一度立ち上がる勇気」を象徴しています。

たとえば、一颯が若手選手に指導するシーンでは、「勝つことだけが正しいとは限らない」と語る場面があります。
この言葉は、彼自身が苦しい経験を経て得た答えでもあります。
こうしたセリフ一つひとつに、KASAさん自身の実体験がにじんでいます。

さらに印象的なのは、ライバルである神崎との関係です。
二人は互いを認め合いながらも、常に相手の存在が自分を苦しめるという、まさに“表裏一体”のような関係です。
ある試合で一颯が敗れたあと、神崎がコートを去る背中に「ありがとう」と小さくつぶやく場面があります。
その一言に、ライバルへの尊敬と悔しさが同時に込められており、読者の胸を強く打ちます。

このように、『ブレークバック』はテニスの試合そのものよりも、そこで生まれる“人と人の物語”を大切にしているのです。

コミックス最新刊22巻・23巻の内容予想

2025年8月に発売された最新第22巻では、一颯がついに「再起の舞台」へ立ちます。
長いトレーニング期間を経て迎えた大会で、彼は過去の自分と向き合うようにプレーを続けます。
物語は静かな空気から一気に熱を帯び、試合シーンの密度もこれまで以上に高くなっています。

22巻では、技術面の成長だけでなく、心の変化が丁寧に描かれています。
特に印象的なのは、観客席からの歓声に包まれた一颯が「これが、もう一度戦うってことだな」とつぶやく場面です。
このセリフは、彼が本当の意味で“過去を乗り越えた瞬間”を示しています。

そして、2025年12月に発売予定の第23巻では、新しい章が始まると見られています。
22巻までで一区切りがついたことで、次の巻では新たなライバルや国際大会が描かれる可能性があります。
過去の伏線として、アルゼンチンでの修行時代や、かつての恩師との再会が示唆されていたため、それらが物語の鍵になるかもしれません。

以下の表は、最新刊の流れを整理したものです。

巻数	発売日	主な展開	テーマ
第21巻	2025年3月7日	ケガからの完全復帰	再挑戦の決意
第22巻	2025年8月7日	大会開幕・過去との対峙	成長と覚悟
第23巻（予定）	2025年12月8日	新章突入・国際大会の予兆	世界への挑戦

この流れから見ても、物語はまだ中盤から後半に向かう途中です。
「打ち切り」とは真逆で、むしろ新たな挑戦が始まろうとしています。

今後の展開は？KASA作品の信頼性と期待値

KASAさんの作品が信頼されている理由は、物語の芯がブレないことです。
どんなに展開が変わっても、「テニスを通じて人間の強さを描く」というテーマが一貫しています。

『ブレークバック』の読者は、勝敗よりも“生き方の描写”に心を動かされてきました。
試合の中で勝つことより、「諦めない」「再び立つ」というメッセージが常に中心にあります。
その姿勢が、多くのスポーツ漫画が短命に終わる中で、長期連載を支える力になっているのです。

今後は、主人公・一颯が国内を越えて海外で戦う展開が予想されます。
KASAさんがアルゼンチン留学の経験を持つことから、南米のプレースタイルや国際的な舞台での駆け引きが新たな魅力として描かれる可能性があります。
現地の空気感や異文化の選手との出会いが、彼の成長をさらに深めるでしょう。

また、これまでサポート役だったキャラクターたちにも焦点が当たることが期待されます。
特にコーチやトレーナーの視点から描かれる物語は、選手の成長を別の角度から支える重要な要素となります。

物語の進行や作画の質を見る限り、『ブレークバック』は今がまさに“成熟期”です。
KASAさんの緻密なテニス表現と、人間ドラマの融合はますます洗練されており、これからの展開にも大きな期待が寄せられます。

読者が感じた「終わりそう」という不安は、実は物語の静かな充電期間にすぎませんでした。
むしろ、これから始まる新章こそが『ブレークバック』の本当の“勝負”なのです。