アニメ『ベルセルク』は、三浦建太郎先生の名作ダークファンタジー漫画を原作とした作品です。
重厚な世界観と衝撃的な展開、キャラクターたちの複雑な心理描写が魅力で、原作は世界的にも高く評価されています。
しかし、ベルセルクのアニメ化に関しては、ファンの間で「ひどい」「残念」といった評価が多く、物議を醸してきました。
ここでは、アニメ『ベルセルク』がなぜ「ひどい」と言われてしまうのかを解説するとともに、近年の新作アニメの魅力や配信情報、評価も合わせて紹介します。
ベルセルクのアニメがひどい:基本情報と評価

ベルセルクのアニメがひどいという前に、アニメ作品の基本情報や評価について解説していきたいと思います。
あらすじ
『ベルセルク』は、巨大な剣「ドラゴン殺し」を背負う黒衣の剣士・ガッツの復讐と救済の物語です。彼は、壮絶な過去を背負いながらも生き抜くことを選んだ孤高の戦士であり、戦いの中でしか生を実感できないような過酷な人生を歩んでいます。かつては「鷹の団」という傭兵団に属し、仲間たちとともに数々の戦場を駆け抜けていました。その中でも、団長であるグリフィスとは特別な関係を築いており、ガッツにとっては同志以上の存在でした。
しかし、グリフィスの野望とガッツの意志の食い違いが次第に明確になる中で、やがてガッツは団を去る決意をします。その決断が後に想像を絶する悲劇を引き起こすことになります。ガッツが団を去った後、グリフィスは王国の権力に手を伸ばし失敗、囚われの身となります。そして彼の復帰を願って救出に向かった元「鷹の団」の仲間たちを待っていたのは、常識を覆すような凄惨な運命、「蝕」と呼ばれる儀式でした。
この儀式においてグリフィスは「ゴッド・ハンド」の一員として転生し、自らの野望のために仲間たちを生贄として差し出します。ガッツとキャスカはその地獄のような空間から命からがら生還するものの、キャスカは精神を失い、ガッツの心も深く傷つきます。
物語は、グリフィスへの復讐を誓ったガッツが、夜ごと現れる悪霊や人間を超越した存在「使徒」と戦いながら旅を続ける姿を描いていきます。彼の旅は、単なる復讐だけではなく、壊れてしまったキャスカの心を取り戻し、自らの存在意義を見出すための旅でもあります。
中世ヨーロッパ風の暗く重い世界観の中で、戦争・宗教・裏切り・呪いといった要素が複雑に絡み合い、物語は進行していきます。人間の業や救い、運命、そして人間の意志がどこまで運命に抗えるかというテーマを、壮大なスケールと緻密な心理描写で描いていくのが本作の最大の特徴です。
主な登場人物&声優
- ガッツ(CV:林延年、岩永洋昭など):主人公。
幼い頃から過酷な環境で育ち、戦場でしか自分の居場所を感じられない人生を歩んできた黒衣の剣士。自分を捨てた育ての親を手にかけるという悲劇的な過去を持ち、心に深い闇を抱えている。巨大な剣「ドラゴン殺し」を振るい、悪霊や使徒との果てなき戦いに身を投じる中で、自身の運命や存在意義と向き合っていく姿が描かれる。 - グリフィス(CV:森川智之、櫻井孝宏など):「鷹の団」の団長。
並外れた美貌と知性、そしてカリスマ性を持つ若きリーダーで、王国の頂点を目指していた。仲間たちからの信頼は絶大で、特にガッツとの絆は特別だった。しかし、彼の夢のために「蝕」という儀式を選び、自らの手で団員たちを犠牲にする非情な選択をする。以降は神の使徒「フェムト」として新たな次元の存在となり、物語の最大の宿敵となる。 - キャスカ(CV:宮村優子、行成とあなど):元「鷹の団」の副官で、唯一の女性戦士。
もとはグリフィスに心酔していたが、ガッツとの出会いによって心を開き、次第に惹かれ合うようになる。「蝕」で心と身体に深い傷を負い、その後は心を閉ざしてしまうが、彼女の存在がガッツにとっての希望であり、旅の動機ともなっている。強さと繊細さを併せ持つキャラクター。 - ファルネーゼ(CV:日笠陽子):聖鉄鎖騎士団の女団長で、当初は異端審問官としてガッツを敵視していた。高貴な家柄に育ち、抑圧された環境の中で信仰にすがっていたが、ガッツとの出会いを通じて価値観が揺らぎ、次第に心を開いていく。旅を通して成長し、精神的な変化を遂げる姿が印象的。
- セルピコ(CV:興津和幸):ファルネーゼの従者で、冷静沈着な性格を持つ剣士。
軽やかな身のこなしと戦略的な思考でガッツと対等に渡り合う実力者。ファルネーゼを深く慕い、常に彼女を陰ながら支える。柔和な物腰ながらも、内に秘めた強い覚悟を持つ人物。 - パック(CV:水原薫):小さな妖精で、ガッツに同行するマスコット的存在。
シリアスな物語の中でユーモアと癒しを提供する。彼の存在によって、物語に柔らかさと軽やかさが加わり、重苦しい展開の中でも救いを感じさせてくれる。意外にも頭の回転が速く、突飛な発言で周囲を驚かせることも多い。
アニメ概要:何話までアニメ化?
アニメ版は、これまでに複数の形式で展開されており、それぞれ異なる時期や技術、演出方針によって制作されています。
これにより、同じ原作の物語でも伝え方や受け取られ方に大きな違いが生まれています。
- 1997年版『剣風伝奇ベルセルク』(全25話):このシリーズは、原作の「黄金時代編」に焦点を当てて描かれており、物語の序盤から「蝕」までを丹念にアニメ化しています。作画は手描き中心で、暗く重厚なトーンが原作の空気感を忠実に再現しており、現在も根強いファンが多い作品です。戦闘描写や心理描写も丁寧で、特にグリフィスの人物像が深く掘り下げられている点が評価されています。ただし、続きとなる「断罪篇」以降は描かれていません。
- 劇場版『黄金時代篇』三部作(2012〜2013年):『覇王の卵』『ドルドレイ攻略』『降臨』の三部作として、原作の同じく「黄金時代編」を新たに再構成した映画シリーズです。映像表現にはCGが多用され、迫力ある戦闘シーンや「蝕」の衝撃的な描写が話題になりました。映像美とテンポの良い編集により、アクションやドラマの強調がなされ、初見の視聴者にもわかりやすい構成となっています。一方で、原作ファンからはエピソードの簡略化や心理描写の不足を指摘されることもあります。
- 2016年・2017年版『ベルセルク』第1期・第2期(各12話):1997年版や劇場版の続編的な位置づけで、原作の「断罪篇」以降をアニメ化しています。CGアニメとして制作され、作画スタイルや動きの硬さについて賛否が分かれました。物語としては、ガッツの旅路が本格化し、新たな仲間との出会いや聖鉄鎖騎士団との戦い、「烙印」の運命に抗う姿が描かれていきます。ストーリー展開そのものは原作に忠実な部分も多く、先のシリーズを観た視聴者にとっては物語の続きとして貴重な位置づけになっています。
また、2022年には劇場版をベースにした再編集テレビシリーズ『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』も放送され、未公開シーンの追加や演出の修正によって、より洗練された形で「黄金時代編」が描き直されています。
このように、『ベルセルク』のアニメ化は断続的に行われており、それぞれのシリーズが異なる特徴と価値を持っています。
評価
- 1997年版:原作の雰囲気を丁寧に再現しており、今もなお名作と評価されている。特に、手描きによる繊細な作画と、登場人物たちの複雑な感情表現が高く評価されている。また、グリフィスとガッツの関係性の描写が深く、物語の悲劇性が一層強調されていた点もファンの間で印象的とされている。
- 劇場版:映像美とスピード感ある展開で新規ファンの獲得にも成功。劇場版ならではの高品質なCGと音響効果により、特に戦闘シーンや「蝕」の描写が迫力満点と好評を博した。一方で、心理描写や日常パートの削減により、キャラクターへの感情移入が難しいという指摘もある。
- 2016〜17年版:ストーリー展開は評価されつつも、CG表現に対する批判が多数寄せられた。特にキャラクターの動きが硬く、戦闘シーンでの没入感を損なっているとの声が多い。しかしながら、原作の「断罪篇」以降を初めてアニメ化した点や、ダークファンタジーとしてのテーマを継承した構成には一定の評価も存在している。
詳しいひどい理由については後ほど解説したいと思います。
配信
それぞれの作品がどこで配信されているかをまとめました。
『剣風伝奇ベルセルク』(1997年放送)
配信サービス名 | 配信形態 | 無料体験期間 | 月額料金(税込) |
---|---|---|---|
dアニメストア | 見放題 | 初回31日間 | 550円 |
DMM TV | 見放題 | 初回14日間 | 550円 |
U-NEXT | 見放題 | 初回31日間 | 2,189円 |
Amazonプライムビデオ | レンタル | 30日間 | 600円 |
『ベルセルク』(2016年放送)および『ベルセルク 第2期』(2017年放送)
配信サービス名 | 配信形態 | 無料体験期間 | 月額料金(税込) |
---|---|---|---|
dアニメストア | 見放題 | 初回31日間 | 550円 |
DMM TV | 見放題 | 初回14日間 | 550円 |
U-NEXT | 見放題 | 初回31日間 | 2,189円 |
Amazonプライムビデオ | レンタル | 30日間 | 600円 |
『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』(2022年放送)
配信サービス名 | 配信形態 | 無料体験期間 | 月額料金(税込) |
---|---|---|---|
dアニメストア | 見放題 | 初回31日間 | 550円 |
DMM TV | 見放題 | 初回14日間 | 550円 |
U-NEXT | 見放題 | 初回31日間 | 2,189円 |
TELASA | 見放題 | 15日間 | 618円 |
『ベルセルク 黄金時代篇』劇場版三部作(2012年公開)
配信サービス名 | 配信形態 | 無料体験期間 | 月額料金(税込) |
---|---|---|---|
dアニメストア | 見放題 | 初回31日間 | 550円 |
DMM TV | 見放題 | 初回14日間 | 550円 |
U-NEXT | 見放題 | 初回31日間 | 2,189円 |
※詳しい配信情報については適宜公式サイトをご確認ください。
ベルセルクのアニメがひどい理由と魅力

ここからは、「ひどい」と言われてしまう理由と、それでもなお存在するアニメ版の魅力について解説していきます。
ひどい理由1:原作との違い
『ベルセルク』の最大の魅力は、三浦建太郎先生による繊細で重厚な描写にあります。
独特の筆致と、登場人物たちの感情や信念が交錯する濃密なストーリー展開は、まさに漫画という表現媒体だからこそ成立する芸術的な完成度を誇ります。
ページごとに伝わる緊張感や絶望感、わずかな希望の光などが、読者の感情を揺さぶってきました。
しかし、アニメ版ではこの「濃密な描写」が大幅にカットされてしまうことが多く、原作ファンからすると物足りないと感じることが多いようです。
登場人物の心の動きや細やかな背景描写が端折られており、物語の深さや説得力が失われてしまっているのです。
特に2016年以降のアニメでは、心理描写やキャラクター同士の関係性の掘り下げが浅く、重要な感情の積み重ねがないまま物語が進行してしまう場面が目立ちます。
例えば、グリフィスとガッツの対立に至る過程や、キャスカの葛藤、ファルネーゼの心の変化といった複雑な内面描写が簡略化されてしまい、その結果ストーリーの核心が軽く見えてしまうという印象を与えます。
さらに、アニメの尺の都合でシーンのテンポが速くなりすぎることも、物語の重みを感じにくくする要因のひとつです。
原作では何ページにもわたって描かれていた重要な場面が、アニメではわずか数分で片付けられてしまい、視聴者の感情が追いつかないまま次の展開に進んでしまうのです。
このように、原作の魅力を十分に活かしきれていない演出や構成が、原作ファンからの不満を生む大きな要因となっています。
ひどい理由2:新旧アニメの違い(CGなど)
1997年版はすべて手描きで制作されており、原作の重厚で陰鬱な雰囲気を忠実に再現しています。
特に光と影の使い方、キャラクターの表情の変化、静と動のバランスなどが非常に丁寧に描かれており、アニメとしての完成度は非常に高いと評価されています。
当時の技術と限られた予算の中でも工夫を凝らした演出が多く、戦闘の緊張感や静かな心理戦に至るまで、原作ファンの期待に応える出来となっています。
また、音楽や効果音も雰囲気作りに大きく貢献しており、平沢進による独特な楽曲「Guts Theme」は、今でもシリーズを象徴する名曲として語り継がれています。
このように、1997年版は視覚・聴覚の両面で世界観の構築に成功しており、アニメ版『ベルセルク』の中でも最も高く評価されているバージョンのひとつです。
一方、2016年版からは3DCGが大々的に導入され、立体的なキャラクターモデリングとカメラワークによって臨場感を出そうとする試みがなされました。
これにより、従来の2Dアニメーションでは難しかったダイナミックな戦闘演出や視点移動が可能となりましたが、その代償としてキャラクターの表情や動作に違和感が生まれてしまったのです。
特にアクションシーンでは、キャラクターの動きが滑らかでなく「ぎこちない」「まるで人形のよう」といった指摘が相次ぎました。
また、感情のこもったセリフや叫びも、表情の変化が乏しいCGキャラでは十分に伝わらず、視聴者の感情移入を妨げてしまう要因となっています。
さらに、2Dと3DCGを混在させる作風も試みられましたが、統一感のないビジュアルや急激な質感の差が「チグハグ」「見ていて疲れる」と感じさせる結果となり、視覚的な没入感を大きく損なってしまいました。
全体的に、演出面の技術的挑戦が裏目に出てしまった印象が強く、視聴者に違和感を与える原因となっています。
ひどい理由3:作画と演出のバランス
特に2016〜2017年版では、作画と演出のバランスが非常に悪いと指摘されています。
3DCGアニメの中でも、キャラクターの表情の硬さや動きのぎこちなさが顕著で、戦闘シーンではキャラクターの動きが滑らかでないため、迫力が半減しています。
特に、剣を振るう際の動作が直線的で重量感に欠けており、ガッツが背負う「ドラゴン殺し」の質量を感じさせないという声も多くあります。
さらに、キャラクターが歩く、振り向くといった基本的なモーションですら不自然なものが多く、「ゲームのカットシーンを見ているようだ」と揶揄されたこともありました。
視線の動きやまばたきが極端に少ないため、キャラクター同士の会話にも生命感が乏しく、感情の機微が伝わりにくくなっています。
演出面においても問題が指摘されており、シーンごとの構成やカメラワークに統一感がなく、場面の切り替えも唐突に感じられることがあります。
また、重要な場面でのカットの繋がりが悪く、演出意図が視聴者に伝わりにくいケースも多々あります。
こうした編集上の問題は、視聴者の物語への没入を大きく妨げる要因となってしまっています。
また、BGMや効果音とのタイミングもズレていることがあり、「演出が雑」と言われることもありました。
音楽が盛り上がるべきタイミングで唐突に途切れたり、逆に静寂が必要なシーンで場違いなBGMが流れるなど、音響演出の不整合が緊張感を削いでしまう場面もあります。
視聴者が物語世界に入り込めるかどうかは、こうした細部の演出に大きく依存します。
ゆえに、作画と演出のバランスが崩れてしまうと、いかに物語が面白くても、その魅力が伝わらない可能性が高くなってしまうのです。
ひどい理由4:情報量とテンポの問題
限られた尺の中で多くの物語を詰め込もうとした結果、シーンの切り替えが早すぎたり、重要な場面がスキップされたりしています。
テンポを重視するあまり、場面展開がせわしなくなっており、視聴者が場面やキャラクターの感情に没入する前に次の展開へ進んでしまうことが多々あります。
特に原作ではじっくりと描かれていたキャラクターの内面描写や、物語にとっての重要な転換点が簡略化されてしまい、ドラマ性が損なわれています。
初見の視聴者にとっては、登場人物の関係性や世界観に関する説明が不十分であるために理解が追いつかず、結果的に情報過多で混乱を招いてしまうこともあります。
一方で、原作を熟知している読者からすれば、「ここを描いてほしかったのに」と感じるシーンの省略や順序の変更が目立ち、満足度が低くなる原因となっています。
たとえば、ガッツがグリフィスから離れる決意に至るまでの過程や、キャスカとの関係性の深化といった、登場人物の心の機微を描いた繊細なエピソードが削られてしまっているため、物語の核心に関わる重要な感情の流れが視聴者に伝わりにくくなっています。
これにより、キャラクターの行動や選択が唐突に見えてしまい、物語全体の説得力を欠く一因にもなっています。
さらに、戦闘シーンなどに重きを置く演出方針によって、心理的な葛藤や緊張感のある静的な場面が軽視される傾向が強まり、ストーリーが単調に感じられる場面もあります。
心理描写とアクションのバランスを適切に保てていないことが、作品の魅力を十分に引き出せていない一因と言えるでしょう。
結果として、ガッツの復讐の動機や、グリフィスの葛藤といった物語の核にある重要な心理面の描写も表面的に終わってしまっているため、「重みが伝わらない」「キャラクターの感情が空回りしている」との評価につながってしまっています。
魅力1:劇場版の映像美
2012〜2013年に公開された劇場版『黄金時代篇』は、STUDIO4℃の手によるハイクオリティなアニメーションで、多くの視聴者に強いインパクトを与えました。
特にガッツとグリフィスの関係性が深まっていくドラマ部分や、激しい戦闘が繰り広げられるドルドレイ攻略戦、「蝕」の衝撃的な描写などは、原作ファンであっても驚くほどの映像クオリティで再現されており、アニメーションとしての完成度の高さを印象づけています。
作画面においては、CGと手描きのハイブリッド技法が用いられ、重厚な甲冑の質感や戦場の埃、火の粉までもリアルに再現されています。
また、カメラワークや構図にも映画的な工夫が随所に施されており、スピーディーなアクションと心理描写の緩急が映像の中で見事に融合されています。
特に「蝕」のシーンでは、色彩と音響の演出により、視覚と聴覚の両方で視聴者に強烈な不快感と恐怖を与えることに成功しており、ベルセルクという作品の持つ狂気と神話性を如実に体験させてくれます。
音楽面では、平沢進による楽曲や荘厳なBGMが場面の空気を引き締め、観る者の感情を揺さぶります。
また、原作を知らない視聴者でも没入できるテンポの良さと、現代的な映像表現によって、これまでベルセルクに触れてこなかった新たな視聴者層の獲得にも成功しました。
劇場版をきっかけに原作コミックを手に取ったという声も多く、メディアミックスの成功例として評価されています。
魅力2:声優陣の熱演
どのシリーズにおいても、声優陣の演技は非常に高く評価されています。
ガッツの怒りや苦悩、グリフィスの冷酷さと美しさ、キャスカの苦しみと葛藤など、それぞれのキャラクターの内面が声によって見事に表現されています。
声だけで感情を伝えるという点において、声優たちはアニメーションのビジュアル面では補いきれない部分をしっかりとカバーしています。
たとえば、ガッツが過去を振り返るシーンでは、怒りと悲しみが交錯する複雑な心情を、抑制された声のトーンや間の取り方で巧みに表現しています。
また、グリフィスの冷徹さと神秘性を同時に感じさせる静かな語り口は、キャラクターの底知れぬ魅力を引き出しています。キャスカが苦悩するシーンでは、声の震えや呼吸の変化が細かく演出され、視聴者の共感を強く引き出しています。
感情的なシーンでは、視聴者の胸を打つセリフや演技が多く、アニメの演出が物足りなくても声優の力で作品を支えている印象があります。
特に、激しい戦闘の合間に挟まれる静かな独白や、叫びに近いセリフの一つひとつには重みがあり、キャラクターの生々しさを感じさせてくれます。声優陣の熱演によって、視聴者は物語世界への没入感をより強く感じることができるのです。
魅力3:重厚な世界観とテーマ性
中世ヨーロッパを思わせる戦乱と宗教の時代背景、使徒やゴッド・ハンドといった独特の神話的設定、そして「生きるとは何か」「信じるとは何か」といった重いテーマは、どのアニメ版でもしっかりと感じ取ることができます。
こうしたテーマは単なる物語の装飾ではなく、キャラクターたちの選択や行動に深く根差しており、視聴者に人間存在の根源的な問いを投げかけてきます。
戦争、裏切り、復讐、信仰、そして人の尊厳――これらの要素は、物語にリアリティと奥行きを与えており、単なるバトルものとしてではなく、哲学的な視点からも読み解ける構造になっています。
また、ベルセルクにおける世界観は単に“暗い”のではなく、そこに潜む人間の弱さや欲望、そしてわずかな救いまでをも描き出しており、まさに「善悪」や「正義」といった概念が相対化された複雑なドラマが展開されています。
世界観の重厚さは原作に大きく依存している部分ではありますが、その要素を映像として体験できるという点で、アニメ化には一定の価値があると言えるでしょう。
たとえば、荒廃した街並みや戦場の描写、使徒たちの異形のデザインなど、映像化によって初めて視覚的な衝撃を持って受け取れる場面も多く存在します。
また、宗教組織や階級制度などの設定も物語にリアルな緊張感を与え、現実世界の歴史や人間社会の構造にも通じる要素として観ることができます。
アニメというメディアを通じて、視覚・聴覚の両面からこの世界を“体験”できることは、作品の理解や没入を深める大きな手助けとなっているのです。
魅力4:MEMORIAL EDITIONでの再評価
2022年には、劇場版をテレビ放送向けに再編集した『MEMORIAL EDITION』が放送されました。
この編集版では、既存の劇場三部作に対して映像の修正や未公開シーンの追加、演出テンポの調整などが施され、よりスムーズで見やすい作品へと進化しています。
編集の質の高さや、新たに加えられたナレーションによって、登場人物の背景や心情がより明瞭に伝わる構成となっており、視聴者の理解度や感情移入が大きく向上しました。
また、劇場版ではやや省略されがちだった感情的なやり取りや心理描写にも配慮が加えられ、原作ファンからも「ようやく納得できる構成になった」との声が上がるなど、再評価の機運が高まっています。
キャスカの繊細な感情の移り変わりや、グリフィスの内面の揺らぎといった部分も丁寧に描写されており、物語の説得力が大幅に強化されています。
さらに、MEMORIAL EDITIONではエンディングに新曲を採用するなど音楽面での刷新もあり、視覚と聴覚の両面で「もう一度見たい」と思わせるクオリティが実現されています。
原作未読の視聴者にもわかりやすく配慮された構成となっているため、新規層にも受け入れられやすく、SNSなどでも好意的なコメントが多く寄せられています。
総括:ポイント

- 原作の重厚な描写が再現しきれていない点が「ひどい」と言われる主な理由。特に心理描写や関係性の積み重ねが薄くなっていることが物語の没入感を損ねている。
- 3DCGアニメの導入は評価が分かれ、特に演出面での不満が目立つ。動作のぎこちなさや視覚効果のばらつきにより、視聴体験の質に大きな影響を与えている。
- 劇場版や1997年版には高評価も多く、映像美や演技力、音楽などで世界観を巧みに表現しており、今もなお支持されている。
- 『MEMORIAL EDITION』での再編集によって、構成や演出が改善され、過去の問題点がある程度払拭されたことで、原作未読層からの再評価や新たなファン層の獲得にも成功している。
- 声優陣の熱演や、アニメでしか表現できない音響・色彩・カメラ演出などは、映像作品としての強みを補完しており、一定の視聴価値を提供している。
『ベルセルク』のアニメは、シリーズごとにクオリティや評価の振れ幅があるものの、作品全体としては原作の持つ力強いテーマや深い人間描写を映像化するという大きな意義を果たしてきました。
一部では「ひどい」と批判される要素も存在しますが、視点を変えればアニメ化によって新たな層へと物語が届く可能性も拓かれています。
原作ファンとしては物足りなさを感じることもあるかもしれませんが、アニメならではの表現の力や、再構成による再発見もあります。
今後のリメイクや続編展開の可能性にも期待を寄せつつ、『ベルセルク』という作品がより多くの人に届くことが望まれます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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