アニメ『BANANA FISH(バナナフィッシュ)』は、原作の持つ深い人間ドラマと重厚なテーマ性から高い評価を受けてきた一方で、「ひどい」「がっかりした」といった声も一部で見られます。
今回はなぜバナナフィッシュのアニメが「ひどい」という評価を受けているのか、その理由を解説するとともに、逆に魅力は何か、評価や配信情報まで網羅的に解説していきたいと思います。
バナナフィッシュのアニメがひどい:基本情報と評価

バナナフィッシュのアニメがひどいという前に、まず、『BANANA FISH』アニメの基本的な情報や全体的な評価についてご紹介します。
あらすじ
物語の舞台は現代のアメリカ・ニューヨーク。銃やドラッグが日常に溶け込み、裏社会の勢力が渦巻く危険な街で、ひときわ異彩を放つ17歳の少年アッシュ・リンクスは、ストリートギャングのカリスマ的リーダーとして君臨しています。美貌と高い知性、冷静な判断力を持つアッシュですが、彼の内には幼少期に受けた深い傷と、逃れられない過去の闇が潜んでいます。
ある日、瀕死の兵士が口にした謎の言葉「バナナフィッシュ」をきっかけに、アッシュは巨大な陰謀に巻き込まれていきます。その言葉が意味するものを追う中で、アッシュはマフィア、軍、政府の暗部へと踏み込んでいくことになります。
一方、来米中の日本人大学生でカメラマン助手の奥村英二は、ひょんなことからアッシュと出会い、次第にその人間性に惹かれていきます。英二は争いや暴力とは無縁の存在でしたが、アッシュとの出会いによって、想像もしていなかった世界に足を踏み入れることになります。
やがて二人は互いに信頼と共感を育み、強い絆で結ばれていきます。そして、二人の友情とも愛情ともとれる関係性が、物語の核心を形成していくのです。彼らがたどる運命は、時に残酷でありながらも、美しく胸を打つものとなっていきます。
主な登場人物&声優
- アッシュ・リンクス(CV:内田雄馬)
- 主人公。冷静で頭の切れる美青年だが、過酷な過去を持ち、内には孤独と怒りを抱えている。圧倒的なカリスマ性で仲間たちを導く。
- 奥村英二(CV:野島健児)
- 心優しく穏やかな性格の日本人大学生。暴力とは無縁の存在でありながら、アッシュとの出会いによって成長し、彼を精神的に支える重要な存在になる。
- マックス・ロボ(CV:平田広明)
- 元戦場カメラマンでありジャーナリスト。グリフィン(アッシュの兄)の戦友であり、アッシュと英二のよき理解者として物語を支える。
- ディノ・ゴルツィネ(CV:石塚運昇)
- コルシカ・マフィアのボス。アッシュを自分の支配下に置こうと執着し、物語の最大の敵として立ちはだかる。冷酷で狡猾な策略家。
- ショーター・ウォン(CV:古川慎)
- チャイナタウンを拠点とするギャングのリーダー。アッシュの信頼厚い親友であり、陽気で仲間想い。悲劇的な運命により視聴者に強い印象を残すキャラクター。
アニメ概要:何話までアニメ化?
アニメ『BANANA FISH』は2018年7月から12月にかけて放送され、全24話で構成されています。この作品は、原作マンガのストーリーを丁寧に現代に置き換えつつ再構築されたことで注目を集めました。
原作では1980年代のアメリカを舞台としていましたが、アニメではスマートフォンやSNSなどが登場する現代のニューヨークに時代背景がアレンジされており、若い世代にも親しみやすくなっています。
とはいえ、その変更により一部の原作ファンからは「時代の空気感が損なわれている」との指摘もありました。
全24話という話数の中で、アッシュと英二の出会いから始まり、数々の衝突と別れを経て物語がクライマックスへと向かう構成はテンポよく、視聴者を飽きさせない演出が光ります。
戦闘シーンや心理戦、友情や愛情の描写までバランスよく詰め込まれており、最終話まで緊張感を持って視聴できる作品に仕上がっています。
最終話では、多くの視聴者が涙した衝撃的かつ美しいラストが描かれ、「心がえぐられた」「しばらく立ち直れなかった」といった感想がネット上に多数見られました。
評価
レビューサイトを中心に、『BANANA FISH』はおおむね高い評価を受けています。
特にFilmarksでは平均★4.3と非常に高水準のスコアを獲得しており、多くのユーザーから「作画が美しい」「ストーリー展開が圧巻」「キャラクターの感情描写が繊細」などの称賛が寄せられています。
一方で、この作品のテーマが極めてシリアスであることから、視聴者の中には「重たすぎる」「見終わった後に心が疲れた」といった声も少なくありません。
性的虐待や暴力、薬物、死など、日常的なアニメでは描かれにくい過酷な題材を正面から扱っている点は、人によっては評価の分かれ目となっています。
また、BL的な側面を感じさせるアッシュと英二の関係についても、肯定的な意見と否定的な意見が交錯しています。
恋愛ではなく魂の交流として捉えた人からは「とても美しい関係」として感動を誘った一方で、「あいまいで分かりづらい」と感じた視聴者も存在します。
全体としては、重厚なテーマ性とキャラクターの深さを評価する声が多く、特に若い視聴者よりも、思春期を過ぎた大人の視聴者層からの支持が厚い傾向にあります。
配信
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バナナフィッシュのアニメがひどい理由と魅力

バナナフィッシュのアニメはなぜひどいと言われるのか、その理由と魅力を解説していきます。
ひどい理由1:過激すぎる描写に拒否反応
アニメでは暴力、性的虐待、薬物依存、死といったテーマが容赦なく描かれており、一部の視聴者にとっては極めて衝撃的で精神的に重たい内容となっています。
とくにアッシュが少年時代に性的虐待を受けていた過去の描写は、フラッシュバックのように物語中にたびたび登場し、そのたびに視聴者の心に重いものを残します。
また、仲間であるショーターが薬物によって洗脳される場面では、愛する友を自らの手で殺さなければならないという究極の選択がアッシュに突きつけられます。
このシーンは「視聴後に泣き崩れた」「しばらく立ち直れなかった」という声も多く見られ、アニメにおいても屈指のトラウマ回として語られています。
さらに、暴力表現についても遠慮がなく、銃撃戦や拷問シーンなどが容赦なく描かれています。
こうした描写は物語のリアリティを高める一方で、アニメに癒しや娯楽性を求めるライト層にとっては過酷な体験となり、「二度と見たくない」との評価につながることもあるのです。
このように、『BANANA FISH』はそのテーマの性質上、万人受けする内容ではなく、視聴者によっては強烈な拒否反応を引き起こす危険性を孕んでいます。
ひどい理由2:原作との時代設定の乖離
原作『BANANA FISH』は、1980年代のアメリカを舞台にした作品であり、その時代特有の空気感や社会背景がストーリーに深みを与えていました。
当時のニューヨークは犯罪率が高く、治安の悪さがリアリティを持って描かれており、登場人物たちの行動にもその時代性が色濃く反映されていたのです。
しかし、アニメ版では設定をスマートフォンやSNSが普及している現代に変更したことで、原作で描かれていた社会的な緊張感や、情報の閉鎖性が薄れてしまったとの指摘がありました。
たとえば、アッシュたちが情報を手に入れるために新聞社や人脈に頼っていた描写が、スマホ一つで済んでしまう現代ではやや説得力を欠く場面も見られます。
この改変は若い視聴者が感情移入しやすいように配慮した結果ではありますが、原作の熱心なファンの中には「時代を超える力強さが逆に弱まった」と感じる人もいました。
また、当時のファッションや文化が持っていた独特の雰囲気も失われてしまったため、作品全体の持つレトロでハードボイルドな魅力が希薄になったと感じた人も少なくありません。
一部のファンからは「現代化によってリアルな社会性が薄れ、物語の説得力やキャラクターの苦悩の深さが軽くなった」との意見も上がっており、時代設定の変更は賛否両論を巻き起こした大きな要因の一つとなっています。
ひどい理由3:テンポが速すぎて感情移入しにくい
24話で原作全体をまとめる構成だったため、テンポが非常に早く、キャラの心情描写が浅く感じられる場面もあります。
特に感動的なエピソードが詰め込み気味で、じっくり感情移入できなかったという意見がありました。
物語が始まってすぐに事件が発生し、主要キャラ同士の関係性が深まる前に緊迫した展開へと突入するため、視聴者がキャラクターに共感しにくい構造になっていたとも言えます。
例えばアッシュの過去や葛藤が描かれる場面が散発的で、物語のスピードについていくのがやっとという声も見られました。
また、英二との関係が深まっていく様子も、もっと丁寧に描かれていれば感情の変化を自然に受け止められたのでは、という意見もあります。
アッシュが英二に心を開くまでのプロセスが早すぎて、「え、もう信頼してるの?」と驚く視聴者もいたほどです。
さらに、クライマックスに向かう展開も急ぎ足になっており、怒涛のように出来事が押し寄せるラスト数話では、キャラクターの選択や死の重みを十分に受け止める前に次のシーンへ進んでしまう印象を受けた人も少なくありません。
このように、濃密なストーリーを24話という尺に収めたことによる弊害として、視聴者の感情が追いつかず、心の余白を持たせる時間が不足していた点が「感情移入できない」「ひどい」と感じられる原因の一つとなっているのです。
ひどい理由4:ショーターの最期がつらすぎる
中盤の重要キャラであるショーター・ウォンが薬物によって洗脳され、自我を失ってしまい、最終的にアッシュの手によって命を絶たれるという悲劇的な展開は、多くの視聴者に深い衝撃を与えました。
このシーンは単なる仲間の死を描いているのではなく、アッシュにとって「最も信頼していた友人を自らの手で殺さなければならなかった」という、想像を絶する葛藤と苦悩が凝縮されています。
ショーターは陽気で人懐っこく、物語の中ではムードメーカー的な存在でした。
彼の登場によって張り詰めた空気が和らぐ場面も多く、視聴者にとっても感情的に親しみやすいキャラクターだったため、彼の悲劇的な最期は多くの人にとって“心のトラウマ”となりました。
さらにこのシーンは、単にキャラクターが死ぬという衝撃だけでなく、薬物によって人格を操られるという非人道的な行為や、それを止められなかった周囲の無力さといった要素も含まれており、視聴後の心理的なダメージは計り知れないものがあります。
ショーターを想って涙を流す英二の姿も相まって、視聴者の心をえぐるような展開となっています。
この回はアニメ『BANANA FISH』全体の中でも特に賛否が分かれるエピソードであり、「作品としての完成度は高いが、あまりにもつらくて繰り返し見られない」という意見や、「ここで一度視聴をやめてしまった」という声すらあります。
それほどまでに、ショーターの最期は作品にとっても視聴者にとっても大きな転機となる出来事だったのです。
魅力1:アッシュと英二の絆の深さ
アッシュと英二の関係性は、本作最大の見どころの一つであり、多くの視聴者がこの二人の絆に心を揺さぶられました。
二人の関係は、単なる友情や恋愛といった一言では表現しきれない深さを持っており、互いに傷つき、守り合いながら少しずつ信頼を築いていく様子が丁寧に描かれています。
アッシュはこれまで誰にも心を許さず、一人で戦い続けてきた孤独な存在でしたが、英二と出会ったことで初めて「無償の優しさ」と「心の安らぎ」を感じるようになります。
英二もまた、異国の地でアッシュという危険な青年と関わることで、自身の内面を見つめ直し、強く成長していくのです。
彼らの絆は、危機的状況の中でこそ強く描かれます。
命を狙われる状況でも、英二はアッシュのそばを離れず、アッシュもまた英二の存在を心の支えとしています。
言葉ではなく、視線やしぐさ、さりげない行動によって伝わる感情のやりとりは、非常に繊細でリアルです。
また、視聴者の中には、二人の関係にロマンチックな要素を見出す人もいれば、純粋な魂のつながりとして感動する人もいます。
こうした解釈の幅があること自体が、アッシュと英二の関係性がいかに豊かで複雑であるかを示しています。
魅力2:圧倒的な作画と演出力
MAPPAによる高品質な作画と、緻密に構成された演出が作品の世界観をよりリアルに、そしてダイナミックに表現しています。
特にキャラクターの動きや表情の変化、影の落とし方に至るまで丁寧に描かれており、視聴者の感情を強く引き込む力があります。
銃撃戦や追跡シーンなどのアクションは、スピード感と緊張感が絶妙に組み合わさっており、手に汗握る展開が多くの視聴者を魅了しました。
たとえば、アッシュが敵の追跡をかわしながら廃ビルを駆け抜けるシーンや、夜の街で繰り広げられるカーチェイスなどは、まるでハリウッド映画のような迫力を持っています。
また、演出面でも色彩設計やカメラワークが巧みで、画面全体の温度感や緊張感を高めています。
静と動の使い分けも見事で、激しいアクションのあとに静かなシーンを挟むことで感情のコントラストが際立ち、物語への没入感が一層深まります。
加えて、キャラクターの心情を映し出す演出も優れており、台詞がなくとも目の動きや微細な表情で内面の葛藤を感じ取れるシーンが多数存在します。
こうした演出の巧妙さは、アニメというメディアの可能性を広げる秀逸な例となっており、作品全体のクオリティを格段に引き上げています。
魅力3:社会問題を鋭く描くテーマ性
『バナナフィッシュ』は単なるアクションやサスペンスの枠を超えて、ドラッグ、性搾取、少年兵、移民問題といった現代社会が抱える深刻な課題に真正面から切り込んでいる作品です。
そのテーマ性の重さとリアリズムは、視聴者に強い問題意識を喚起させ、多くの人々に「これはフィクションだけど、現実でも起こりうることだ」と深く考えさせられる機会を与えています。
たとえば、劇中で描かれる未成年への性的虐待は、アッシュの過去という個人の悲劇にとどまらず、権力構造や経済格差の中で無力な存在がどう搾取されるかという現実を強く示唆しています。
また、薬物の人体実験や兵士への洗脳といった描写も、倫理や人権の問題を痛烈に批判する要素として物語に組み込まれています。
さらに、物語を貫く暴力と支配の構造は、現代の権力社会を反映しており、視聴者に「支配とは何か」「自由とは何か」といった普遍的なテーマを投げかけます。
アッシュという存在が、自らの過去や社会からの抑圧と戦い続ける姿は、社会的弱者の象徴としても解釈でき、現代社会の問題を寓話的に描いた作品とも言えるでしょう。
そのため、『バナナフィッシュ』はエンタメ性を持ちながらも、観た者の心に何かを問いかけ、鑑賞後に余韻と考察を残す作品として、多くの評論家や視聴者から高く評価されているのです。
魅力4:音楽が物語をさらに引き立てる
主題歌「found & lost」(Survive Said The Prophet)や「Prayer X」(King Gnu)をはじめとする楽曲は、物語の雰囲気にぴったりと寄り添い、作品の持つ緊張感や切なさを音楽で際立たせています。
オープニングやエンディングテーマは、それぞれの曲調が視聴者の心に残る印象を与え、アニメとしての完成度を高める大きな要素となっています。
特に「Prayer X」は、英二の視点や心情と深くリンクするような歌詞と旋律で、彼の優しさや苦しみ、葛藤を象徴するような存在になっています。
視聴後にこの楽曲を聴き返すことで、物語の情景が鮮明によみがえるという声も少なくありません。
また、劇中のBGMも非常に丁寧に作られており、静かなシーンでは感情の余韻を残し、アクションシーンでは緊張感を高める効果的な音楽が流れます。
最終話のラストシーンにおける音楽の盛り上げ方は特に秀逸で、視聴者の涙を誘う名演出として語り継がれています。
総括:ポイント

- 原作とは異なる現代設定に変更されたことで、時代背景の雰囲気が変わり、原作ファンの間で賛否が分かれる結果となった
- 暴力や性的虐待、死といった過激なテーマが随所に描かれており、視聴後に強い精神的ストレスを感じる視聴者も少なくない
- 一方で、アッシュと英二の絆に象徴される深い人間ドラマ、ハイクオリティな演出、印象的な音楽などが作品の完成度を押し上げている
- 原作に思い入れのある視聴者にとっては、カットされた場面やテンポの早さが「物足りなさ」や「惜しさ」を感じさせる要素となる
- ショッキングな展開と繊細な表現が混在し、重厚なテーマ性とエンタメ性が交差することで、作品の評価は見る人の感性によって大きく分かれる
- アニメ化によって新たなファン層を獲得した一方で、繰り返し見るには覚悟のいる“心に深く残る名作”として語られている
『BANANA FISH』は、確かに一部で「ひどい」と評価される要素を持ちつつも、それ以上に視聴者の心に深く突き刺さる力を秘めた作品です。
描かれる世界は決して優しくはありませんが、その分だけキャラクターの感情や信頼関係は美しく輝きます。
アニメという表現媒体を通じて、原作の持つ重厚なテーマ性とドラマを現代にアップデートしながら、見事に描き切った本作は、多くの人にとって「一度は観ておくべき作品」として、これからも語り継がれていくでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

アニメ・映画が大好きで毎日色んな作品を見ています。その中で自分が良い!と思った作品を多くの人に見てもらいたいです。そのために、その作品のどこが面白いのか、レビューや考察などの記事を書いています。
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