『進撃の巨人』の物語の原点ともいえる「エレンの母・カルラが巨人に食べられるシーン」
この衝撃的な出来事が、エレンの復讐心の起点となり、物語全体を動かしていく大きなモチーフとなっています。
この記事では、エレンの母を食べた巨人の正体は誰なのか?
あの場面の詳細、巨人の正体、なぜカルラが食べられたのかについて、原作とアニメをもとにわかりやすく解説していきます。
【進撃の巨人】エレンの母が食べられたのはどんなシーン?

まずは、エレンの母が巨人に食べられたシーンがどのようなシーンだったのかを振り返って見ましょう。
1巻の第2話『その日』
エレンの母・カルラが巨人に食べられるシーンは、原作漫画の第1巻・第2話『その日』、アニメ版では第1話『二千年後の君へ』にあたる部分で描かれています。
この場面は『進撃の巨人』の物語の導入として、読者や視聴者に圧倒的なインパクトを与えました。
物語の始まりとして、あまりにも衝撃的なこの描写は、“絶望”という感情を視聴者に植え付ける役割を果たしています。
人類が壁の中で細々と暮らす世界に突如現れた「超大型巨人」によって、シガンシナ区の壁が破壊され、その結果大量の巨人が侵入するという惨状が展開されます。
混乱と破壊の中、住民たちは避難を余儀なくされますが、エレンの家もまた、巨大な瓦礫に押しつぶされてしまい、母・カルラはその衝撃で足を負傷し動けなくなってしまいます。
必死に助けを求めるエレンとミカサの前に、駐屯兵ハンネスが駆けつけますが、恐怖と現実の残酷さの中で、ハンネスは2人の子どもだけを救い出す選択をします。
カルラはその場に残され、無慈悲にも巨人に捕まり、まさに“握りつぶすように”持ち上げられた後、泣き叫ぶエレンの目の前で食べられてしまいます。
この一連の流れは、暴力の理不尽さ、力の不均衡、そして“守れない現実”を強烈に描き出しています。
読者を惹きつける最重要回
このシーンは、単なるショッキングな描写ではありません。
むしろ、「母を失う」という絶対的な喪失体験を通じて、エレンというキャラクターに明確で強い動機を与える決定的な瞬間なのです。
彼がのちに口にする「巨人を一匹残らず駆逐してやる!」という名台詞は、まさにこの出来事から生まれた怒りと悲しみの結晶です。
また、カルラの死によって視聴者が“巨人”という存在をただのモンスターではなく、「主人公を動かす大きなきっかけ」として認識するようになり、物語に説得力と緊張感をもたらしました。
このような心をえぐる展開は、物語に没入させる効果(イマージョン)をもたらし、物語の骨太さを印象づける要素となりました。
『進撃の巨人』の壮大なストーリーの起点とも言えるこの場面は、読者・視聴者にとって「引き込まれるきっかけ」として、今なお語り継がれる名シーンです。
作品全体の空気感、世界観、そしてキャラクターの背景を一気に提示するこの回は、アニメでは“第1話にして最高の掴み”と称されるほどの完成度を誇っています。
【進撃の巨人】エレンの母を食べた巨人の正体

さて、ここからはいよいよエレンの母を食べた巨人の正体を解説していきます。
この巨人の正体を明かすシーンは作中で屈指の伏線回収の瞬間です。
個人的には、明かされた瞬間には、叫んでしまったようなシーンになります。
ダイナ・フリッツ
それは、カルラを食べた巨人の正体が「ダイナ・フリッツ」であるということです。
ダイナはかつてグリシャ・イェーガー(エレンの父)の最初の妻であり、しかも「王家の血」を引く貴重な存在でした。
王家の血を継ぐ者として、物語において極めて重要な意味を持っていたにもかかわらず、超悲惨な人生を送った人物のうちの一人です。
アニメで言うと、ダイナが登場するのは主にSeason3です。
ダイナが巨人にされた経緯
グリシャとダイナは、マーレ国のレベリオ収容区にて「エルディア復権派」として活動していました。
ダイナは王家の血筋であることを隠しながら、エルディア帝国の復興を夢見て、密かに活動を続けていました。
しかし、実の息子であるジークの密告によりその活動が発覚し、ふたりはマーレ当局に逮捕され、最終的に「楽園送り」の刑を宣告されてしまいます。
「楽園送り」とは、罪人を無垢の巨人に変えてパラディ島へ放つという恐ろしい刑罰であり、ダイナも例外ではありませんでした。
王家の血であるということがマーレ側にバレれば、一生王家の血筋のエルディア人を産み続けさせることになります。
しかし、マーレ当局に潜入していたフクロウことエレン・クルーガーの工作によってそれは阻止されます。
しかし、垢の巨人として変えられ、自我を失った状態で島を彷徨い、人を食う存在として放置されることになったのです。
その結果、ダイナは巨人の姿で何年もさまよい続け、ついにはカルラ・イェーガーを捕食するという、運命的な交差点にたどり着くことになります。
皮肉にも、自らの元夫グリシャの“次の家族”を喰らうという形で再び物語に深く関わることになったのです。
【進撃の巨人】ダイナ巨人がカルラを食べた理由【考察】

ここからは、なぜダイナ巨人がエレンの母であるカルラを食べたのかを考察していきます。
基本的には、物語においてエレンの大きなモチベーションを作るためというのは前提として、もっと深いところで考察していきたいと思います。
理由①:エレンが始祖の力で操作した
物語の終盤、エレンは「始祖の巨人」の力を手に入れます。
というか、”道の世界”においては過去・現在・未来は存在しないので、最初からエレンはこの力を行使できるとも言えると思います。
エレンはこの力によって、未来の出来事を過去の登場人物に見せたり、行動を促すことができるようになります。
そのため、「過去に起きた出来事」も、エレンの意志によって形作られた可能性があると考えられるのです。
その中でも特に話題となったのが、エレンの母・カルラが巨人に食べられたシーンへの関与です。
ファンの間では「実はエレン自身が、始祖の力を使ってダイナ巨人にカルラを襲わせたのではないか?」という考察がささやかれています。
具体的には、845年、ベルトルトが超大型巨人の力によって壁を破壊した後、巨人から出た直後のこと。
ダイナ巨人に無防備な状態で遭遇しますが、ダイナはベルトルトに見向きもせず、真っ直ぐ壁の中に入っていきます。
巨人の性質上、人間が多いところに寄っていくというものがありますが、しかし、ベルトルトを直視したにも関わらず無視をしているのは説明がつきません。
それに、そのシーンがわざわざ描かれているのも露骨です。
ですので、これはもう考察というよりほぼ確定事項と言っていいでしょう。
これにより、エレンがダイナを操作し、自分が今の未来までやってくるためのきっかけを作ったと言われています。
これは、エレンの中に存在する“強すぎる復讐心”や“怒り”が、未来から過去に干渉し、無意識に「母を殺せ」と命じた結果なのではないかという見方です。
また、あの場にダイナ巨人が偶然現れたのではなく、エレンが始祖の力を通じてその行動を“選ばせた”結果であるならば、それは単なる運命ではなく、明確な意図に基づいた“必然”だったということになります。
この考察は一見過激なようですが、作中に散りばめられた描写や伏線の積み重ねによって、十分に成立しうる説であると考えられます。
理由②:ダイナ自身の意思
一方で、ダイナ自身の意思でカルラを狙ったのではないかとも考えられます。
無垢の巨人が完全に“無意識で無差別”という存在ではなく、ある程度の本能的な感情や過去の記憶が行動に影響している可能性に注目したものです。
実際に、コニーの母巨人もコニーを見て「ただいま」と発言しています。
特定の人物を執拗に追いかけたり、ある特定の方角にだけ進み続けるなど、単なる“空腹”による行動では説明のつかない場面もいくつか見られました。
ダイナ巨人についても同様で、偶然カルラのもとに現れたように見えて、実は彼女の中に眠る“記憶”や“感情”が無意識下で行動を導いたのではないかという見方があります。
ダイナは巨人化させられる直後に、
「どんな姿になっても、あなたを探し続ける」ということをグリシャに伝えています。
そして、その意思を胸に巨人化し、グリシャが住んでいたシガンシナ区の家までたどり着くわけです。
そして、グリシャの新しい嫁であるカルラを食べます。
これはダイナ本人の意思が少しは関与していると考えた方が面白いと私は思います。
全てが彼女の意思とは言えないかもしれませんが、物語をよりドラマティックにするために諫山先生がし仕組んだ大仕掛けだと思います。
まとめ

『進撃の巨人』の物語を動かす大きなきっかけとなった、エレンの母・カルラが食べられるという衝撃的なシーン。
その背後には、登場人物たちの複雑な意思、運命のいたずらのような因果が隠されていました。
食べた巨人がダイナ・フリッツだったという事実、そして彼女の正体と背景、さらにはエレン自身がそれに関与していた可能性──すべてが分かってくると、あのシーンの重みは何倍にも増して感じられます。
ただの“ショッキングな事件”ではなく、キャラクターたちの愛憎や運命が交差する象徴的な出来事として、この場面は『進撃の巨人』という作品の核となっているのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

アニメ・映画が大好きで毎日色んな作品を見ています。その中で自分が良い!と思った作品を多くの人に見てもらいたいです。そのために、その作品のどこが面白いのか、レビューや考察などの記事を書いています。
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