アニメ版『ONEPIECE』は1999年から今に至るまで26年間も放送されている、日本で最も長く放送されているアニメのうちの一つです。
そんなアニメ版『ONEPIECE』は、26年間の中で、作画は大きく変化してきました。
個人的にはひどいといえる時期もあったと思います。
しかし、最近のワンピースはひどい時期とは見違えるほどに、作画が良くなったと思います。
これにより、アニメ制作会社が変わったのか?と思う人も大勢いると思います。
というわけで、今回はアニメ版『ONEPIECE』の作画とアニメ制作会社を振り返っていきます。
ワンピースのアニメ制作会社は変わったのか?
まず、なぜワンピースのアニメ制作会社が変わったと言われるようになったかと言いますと、『ワノ国編』に入ってから、作画が突然段違いに良くなったことが挙げられると思います。
「作画が良くなった」と一口に言っても、様々な側面から評価することができます。
私が特に改善されたと思う点は、
- キャラクターの描き分けが統一された
- アクションが単調ではなく、ヌルヌル動くようになった
- 綺麗なエフェクトがたくさん付くようになった
- 色彩が豊かになった
などです。
これだけ良くなった点があれば、アニメーションの制作会社が良い会社に変わったと思う人がたくさん現れるのは当然だと思います。
しかし、結論を言うと、ワンピースのアニメーション制作会社は、26年間変わっていません。
アニメ版『ONEPIECE』のアニメーションを制作しているのは、「東映アニメーション」です。
ただし、現在制作が発表されているワンピースの新シリーズ『THE ONE PIECE』に限っては、『SPY×FAMILY』や『進撃の巨人』などのアニメーション制作を手掛ける「WIT STUDIO」が担当しています。
最近ひどいと言われていたワンピースの作画が良くなった理由
では、なぜアニメーション制作会社は「東映アニメーション」でずっと一緒のままなのにもかかわらず、『ワノ国編』からの作画が良くなったのか。
その理由は大きく2つ考えられます。
作画が良くなった理由①
一つ目は、単純にアニメーション技術の進化です。
これはアニメ業界全体で技術が進化していることが挙げられます。
具体的には、従来の手描き作画からデジタル作画へ移行が進み、クオリティの高い作画を維持しつつ作業を効率化できる点です。
例えば、手描き作画では、線の太さはアニメーターの匙加減で決めていましたが、デジタル作画では、ペンの太さや透明度などを細かく設定し保存できるため、安定した作画を供給することができます。
また、デジタル作画では、滑らかに細部まで描くことができ、描き直しや修正を簡単に行うことができます。
他にも、デジタルツールによる光源シュミレーションなどで、よりリアルなライティング(照明)にすることもできますし、セルルック(アニメ的な)のCGを活用することによってキャラクターの複雑な動きを、作画せずに再現することができます。
もちろん、手描きの作画が悪いと言っているわけではありません。
手描き作画のアニメーションでも神作画と言えるアニメはたくさんあります。
しかし、手描きよりも時間をかけずに安定した高クオリティの作画が毎週放送のアニメで実現できるのは、デジタル作画やデジタルツールの技術の進化が大きな要因であると思います。
作画が良くなった理由②
アニメーション技術の進化は要因として考えられます。
しかし、なぜ、『ワノ国編』といういきなりなタイミングで変わったのかはアニメーションの進化だけでは説明できません。
では、その理由は何かというと、制作体制の刷新が挙げられます。
まず、『ワノ国編』は原作において人気が高く、雰囲気も心機一転するため、制作陣が特に力を入れたい章であると考えられます。
そこで、背景美術の強化とキャラクターデザインの見直しが行われたと考えられます。
背景美術に関しては、ワノ国の和風テイストを表現するため、背景美術に時間とリソースをかけ、日本の伝統美を感じさせる細かいディテールや色彩設計が施されています。
特に、光と影の表現に工夫を凝らし、立体感のある美しいビジュアルが特徴的です。
キャラクターデザインに関しては、原作のタッチに忠実かつアニメーション向けに洗練され、特に顔の表情や動作の細かい演技が向上しているように感じます。
これもアニメーション技術の進化のおかげです。
また、新しいスタッフの起用も大きな変化であると思います。
東映アニメーションは、アクション作画の得意な新進気鋭のアニメーターを積極的に採用しているそうで、これによって、アニメーションのクオリティが上がったと見られます。
特に、言及したいのが、アニメ監督・演出家の長峯達也さんの起用です。
長峯達也さんは『ドラゴンボール超 ブロリー』の監督を務めており、作画・演出でとても評価されている監督です。
基本的にテレビ版のワンピースでは、毎話ごとに脚本・演出・作画監督などは交代で担当しているようですが、ワノ国の記念すべき1話目に演出として、長峯達也さんが起用されています。
こういったところからも、ワノ国から心機一転していこうという制作陣の気持ちが見えてくると思います。
アニメワンピースの歴代作画の移り変わり

これまではワノ国編からいきなり作画が良くなった理由を解説してきましたが、これまでの作画はどうだったのでしょうか。
私は大きく分けて3つ、作画の移り変わりがあったと思いますので、そちらをご紹介したいと思います。
東の海編〜海軍要塞編(1999年〜2004年10月)
まずは、テレビアニメ放送開始から海軍要塞編までです。
この辺りのアニメは、古いアニメ感がまだある作画だと思います。
また、キャラクターデザインも漫画の初期のデザインをそのまま使っている感じだと思います。
動きや戦闘シーンに違和感はなく、カット割や演出も見ていて楽しいものとはなっています。
フォクシー海賊団編〜ホールケーキアイランド編(2004年11月〜2019年6月)
続いてフォクシー海賊団編からホールケーキアイランド編に至るまでの15年間の作画です。
1つ目の作画の流れからの区切りを、フォクシー海賊団編か海軍要塞編かで迷いましたが、オープニングが切り替わるのがフォクシー編からだったのでこちらを区切りにしました。
この期間の作画は、全体的に線が細く、動きが単調な印象です。
正直に言って、この期間の作画が一番苦手です。
ワンピースで作画崩壊と呼ばれる回はこの期間に集約されていると思います。
特に新世界編以降の作画に関しては、キャラクターの描き分けができておらず、作画が崩壊している部分があったと思います。
もちろん、話によっては作画が凄いと思える回もありましたが、全体的には私は低評価です。
ここで、作画崩壊が散見される理由としては、コスト削減のために、原画や仕上げなどを海外受注していたことが挙げられると思います。
海外受注をすれば、必ず作画が悪くなるというわけでもありませんし、他のアニメーション制作会社でも海外受注をしている会社はたくさんあると思います。
加えて、現在のワノ国編、そしてエッグヘッド編においても、原画の海外受注をしているようですので、きちんとクオリティチェックを行ったり、キャラクターの描き分けをシビアに行ったりしているのだと推測します。
と、ここまであまり良い評価を言いませんでしたが、全く見れたものじゃない!という作画ではないので安心ください。(アニメ版ワンピースは7〜8周くらいしています。)
ワノ国編〜エッグヘッド編(2019年〜現在)
長い期間を経てようやく作画の最高到達点にこれたのが、現在放送中のワンピースというわけです。
ちなみに、ワノ国編とエッグヘッド編、特別編の『ONEPIECE FAN LETTER』それから、現在新世界編を新たに作画し直した『SPECIAL EDITED VERSION ONE PIECE』は全て少しずつ作画や演出が違います。
ワノ国では、日本画を意識したような少し太めで不規則な線で描かれていましたが、エッグヘッドでは、細めの規則的な線で描かれるようになっています。
ただ、キャラクターデザインの作画はワノ国を引き継いでいると思います。(服装などではなく、顔のバランスなどです)
『ONEPIECE FAN LETTER』では、本編とは少し違うためか、ワノ国編のOPやEDの作画で使われていた、今風のオシャレ作画とでもいう作画になっていたと思います。
加えて、演出も絶妙で、テンポ感やセリフ、カット割なども本編では味わえないものになっていました。
『SPECIAL EDITED VERSION ONE PIECE』では、エッグヘッド編の作画とほぼ変わらない作画だと思います。
まとめ
今日はアニメ版『ONE PIECE』の制作会社は変わったのかと、アニメ版の作画の移り変わりについて話してきました。
結論としては、東映アニメーションが26年間アニメーション制作を担っており、そのクオリティは最近になって爆発的に進化しているということです。
まさに、作画の最高到達点にまできていると思いますので、これから最終章が描かれのが楽しみですね。
また、質の高い作画で有名なWIT STUDIOが手がける『THE ONE PIECE』もとても楽しみです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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