アクションRPGとして世界中に熱狂的なファンを持つ『ニーアオートマタ』。
その独特な世界観や深い哲学性、魅力的なキャラクターたちはゲーム業界でも異彩を放ち、数々の名作ランキングにも名を連ねています。
そんな『ニーアオートマタ』がアニメ化されたことで、大きな話題を呼びましたが、放送後は「ひどい」「意味がわからない」「作画は良いけど話が難解」といった声が続出。
中には高く評価する人もいる一方で、評価は賛否が大きく分かれています。
本記事では、ニーアアニメの評価、なぜ「ひどい」と言われるのか、そして続編(3期)の可能性について詳しく解説していきます。
ニーアオートマタのアニメ:評価

まずはアニメ『NieR:Automata Ver1.1a』に対する視聴者の評価について、代表的な意見を3つ取り上げて紹介します。
それぞれの評価には、視聴者の立場や原作への理解度によって差が見られ、賛否両論が生まれた背景を知る手がかりとなります。
評価1:作画や演出は圧倒的に美しい
アニメーション制作を手掛けたのはA-1 Pictures。
近年のアニメ業界でも高い制作力で知られるスタジオだけに、期待通り、いやそれ以上のクオリティを見せつけてくれました。
ゲームの雰囲気を再現した重厚で美しい作画は、多くのファンから高評価を得ました。
特に第1話のオープニングから始まる空中戦、2Bと9Sの連携したバトルアクション、ポッド同士の無機質ながらも印象的な会話、そしてバンカー内部のメカニックな美しさなどは、視覚的な魅力にあふれています。
また、機械的で退廃的な世界を描く陰影表現や、冷たい金属質な光の演出も丁寧に作られており、ゲームのビジュアルスタイルとアニメの演出が見事に融合していた点は大きな見どころでした。
キャラクターの表情や動き、戦闘シーンの滑らかさも含め、アニメ単体としてのクオリティは非常に高く、「ビジュアルだけでも見る価値がある」という声も多く聞かれました。
加えて、音楽面でもMONACAによる劇伴が映像をさらに引き立てており、シーンの緊張感や哀しさを一層際立たせています。
ファンの間では「劇場クオリティ」「映像作品としての完成度は群を抜いている」と絶賛されることもあり、アニメとしての表現力は高く評価されていると言えるでしょう。
評価2:原作へのリスペクトが感じられる
アニメではゲーム本編と同じく、哲学的な問いや機械生命体の存在意義、感情を持たないはずのアンドロイドたちの葛藤などが丁寧に描かれています。
たとえば、2Bと9Sの間にある“感情が芽生えつつあるけれど、任務ゆえに抑圧されている”関係性がしっかりと描写されており、ゲームのプレイヤーにとっては「そうそう、ここはこういう気持ちになるよね」と共感できる場面が多くありました。
ゲームを知っている人にとっては、「あの場面がこう描かれたか」「このセリフの意味がここで活きるのか」といった、再解釈的な楽しみ方ができる構成になっており、原作への理解が深まると同時に“補完”としての役割も果たしていると感じた視聴者も多いです。
特にリリィやA2の視点が加わることで、ゲームでは断片的だったエピソードや背景が掘り下げられ、サブストーリーとして新たな厚みを持たせています。
リリィの過去が語られる回では、ヨルハ計画の裏側に触れる描写もあり、単なるアニメ化ではなく「新たな切り口からニーアの物語を語る試み」として、好意的に受け止めたファンも少なくありませんでした。
また、アニメオリジナルの台詞やカットが挿入されており、これが原作との違いを生む一方で、「これは制作者が作品に敬意を持って向き合っている証」と評価する声も上がっています。
表面的な再現に留まらず、アニメならではの表現を取り入れることで、視聴者に新鮮な感動を届けようとする姿勢が感じられた点は、まさに“リスペクト”の証とも言えるでしょう。
評価3:新規ファンにはやや難解
一方で、ゲームをプレイしていない視聴者にとっては、「設定が複雑すぎる」「世界観の説明が少ない」と感じることが多かったようです。
視聴者の間では「途中で話が飛びすぎてついていけない」「登場人物の感情がよくわからない」といった戸惑いの声が少なからず見られました。
アニメは原作ゲームをベースに構成されているため、設定や前提が“知っているもの”として進行してしまう傾向があります。
たとえば、ヨルハ部隊の存在意義や、アンドロイドと機械生命体の関係、ポッドが持つ情報処理の意義など、本来であれば世界観を理解するうえで重要な部分が十分に説明されないまま進んでいくため、「ついていけない」「気が付いたら話が変わっていた」といった印象を与えてしまいました。
また、パスカルの村の展開や、自爆したアンドロイドたちの動機など、視聴者の目線では感情的な納得が得にくいシーンがいくつか存在します。
アンドロイドたちが涙を流す意味、死を恐れる理由、そして“人類がすでに滅んでいる”という事実が物語全体にどう作用しているのかは、原作プレイ済みでないと理解が追いつかない部分があるのです。
また、登場人物が感情を抑えた演技をしているため、視聴者は「何を考えているのかわからない」と感じやすくなります。
これは演出上の意図でもありますが、新規ファンからすると「キャラクターに共感できない」「冷たく感じる」といった声にもつながっており、心理描写の不足感も“難解”と受け止められる一因となっていました。
結果として、作品に惹かれる前に混乱してしまい、途中で離脱する視聴者もいたようです。これが新規視聴者からの「意味不明」という評価につながったといえるでしょう。
ニーアオートマタのアニメ:ひどい理由

では、なぜ『ニーアオートマタ』のアニメは「ひどい」と言われてしまうのか?
その理由は一概には語れませんが、いくつかの共通した要素が視聴者の不満につながっていることがわかります。
ここでは、視聴者の声をもとに代表的な3つの理由を取り上げ、背景や影響も含めて詳しく解説していきます。
理由1:たび重なる放送中断
最大の問題点は、何度も放送が延期されたことです。
制作側の事情により、アニメは感染症やスケジュールの都合などで複数回にわたって休止。
1クールの作品であるにもかかわらず、放送が断続的になったことで、物語への集中力が削がれてしまいました。
特に放送開始後すぐの第4話で最初の休止が入り、その後も第8話以降で再び中断。
数週間から1〜2か月という間隔が空くことが続いたため、「前回の話を忘れてしまった」「誰が誰だっけ?」という視聴者の声が多く見られました。
その結果、ストーリーの連続性が失われ、視聴者が物語に感情移入するタイミングを逃してしまうという悪循環に。
せっかくの重要な伏線や感動的な展開も「再開したころには気持ちが冷めていた」という声があり、アニメへの熱量を維持することが非常に困難だったのです。
また、制作会社から放送再開のたびに「新たに見直してから観てください」とのアナウンスがあるほどで、視聴体験が断片的になったことは評価に大きく影響しました。
これが「ひどい」「テンポが悪い」と感じられる一因であり、アニメ作品としての完成度以前に“継続して視聴することの難しさ”が批判の的となったと言えるでしょう。
理由2:説明不足でストーリーがつかみにくい
先ほどの評価にも関連しますが、アニメでは世界観や用語の解説が極端に少ないため、初心者には非常に分かりにくい構成となっています。
ヨルハ計画や機械生命体の起源、人類の絶滅といった、物語の根幹に関わる設定がナレーションやセリフでサラッとしか触れられず、初見では理解しづらいまま話が進んでしまいます。
特に、「なぜアンドロイドが戦っているのか」「敵とは何なのか」「人類は今どこにいるのか」といった大前提すら明確に説明されないため、視聴者はキャラクターの行動目的が分からないまま物語を追わなければなりません。
例えば、第5話で描かれるパスカルの村での出来事は、機械生命体でありながら平和を望む者たちが集まる場面として非常に重要ですが、原作を知らない視聴者にとっては「なぜ急に共存ムードなのか」「彼らは敵ではなかったのか」と混乱を生む展開でした。
キャラクターたちの態度の変化にも説明が追いつかず、視聴者が戸惑いながら物語を追う状況が続きます。
また、設定の断片が多くの専門用語とともに断続的に登場するため、物語の全体像を俯瞰することが難しいという構造的な問題もあります。
特に、「アーカイブ」「塔」「ブラックボックス信号」などの専門用語が詳細な説明なしに会話に登場するため、それらが物語にどう関わっているのかを理解するには、ゲームの前提知識が必要になります。
このような“前提知識ありき”の構成は、原作をプレイした人にとっては嬉しい反面、新規視聴者を遠ざけてしまう要因となってしまいました。
情報量の多さと説明不足が同時に存在するという矛盾した状態により、視聴者は「世界観に没入できない」「何が起きているのか分からないまま終わった」といった評価を抱きやすくなり、結果的に「意味不明」「ひどい」といった感想につながってしまったのです。
理由3:テンポの乱れと感情の乏しさ
作画や音楽のクオリティは高いのですが、ストーリー全体の構成に起伏が乏しく、視聴者が盛り上がるポイントを感じづらいという声が多数上がりました。
特に会話劇のテンポが一定で、緩急が弱く、キャラクター同士のやり取りにも緊張感や温度差が感じられない場面が多かったことが「退屈」「平坦」といった評価につながっています。
また、キャラクターたちの感情描写が淡泊で、特に初見の視聴者にとっては「誰に感情移入すればいいのかわからない」「キャラクターの内面が見えてこない」といった不満を抱かせる原因にもなっていました。
これは演出の意図である“感情を抑えたアンドロイドらしさ”を表現したものとも受け取れますが、ドラマ性を期待していた視聴者には響きにくかったようです。
特に9Sが2Bの死に直面するシーンでは、ゲームでは強烈な感情の爆発が描かれていたにもかかわらず、アニメでは比較的あっさりとした演出となっており、「あの場面で泣けなかった」「もっと深掘りしてほしかった」との指摘がありました。
2Bの死を受け入れきれず、崩れていく9Sの内面世界を視覚的・音響的に掘り下げる余地はあったはずだという意見もあります。
また、9Sが闇堕ちしていく過程や、A2とのすれ違いなどもセリフ中心の説明に終始しており、視聴者が「展開についていけない」「心情の変化が唐突すぎる」と感じる要因になっています。
心理的な溜めや爆発がないままストーリーが進むことで、本来強烈に響くはずの名シーンが感情的にスルーされてしまった印象です。
これにより、せっかくの名シーンやキャラクターのドラマが視聴者の心に響かず、「期待していたほど感動できなかった」「泣けるはずなのに何も感じなかった」という感想につながっています。
感情描写の不足とテンポの問題は、作品への没入感を阻害する大きな要因となってしまいました。
ニーアオートマタのアニメ:3期はどうなる?

現在、『NieR:Automata Ver1.1a』は2クール目が完結しましたが、ファンの間では早くも「3期はあるのか?」「次はどこまで描かれるのか?」といった声が上がっています。
では、3期(あるいは新作続編)の可能性は本当にあるのでしょうか?
現時点で公式から3期の発表はされていませんが、いくつかの観点からその可能性が高まっていると考えられます。
- 人気キャラクターであるA2の物語が完結していない:A2は物語の後半で主役的な立場になる重要なキャラクターですが、アニメ版ではその内面や成長が十分に描き切れていません。彼女を中心としたドラマを深掘りする余地がまだ多く残されています。
- 原作ゲームのマルチエンディングの多くが未映像化:原作『NieR:Automata』は複数のエンディングが用意されており、アニメではその中のごく一部のみが描かれています。特に「エンディングE」と呼ばれる希望に満ちた結末はアニメ化されておらず、これをどう扱うのかが次期の焦点になる可能性があります。
- 原作ゲームが全世界で累計800万本以上を売り上げる大ヒット作品:この圧倒的な実績は、続編を展開するうえで大きな後押しとなります。ファン層の厚さ、グッズや関連メディアの売上などからも、映像展開の需要が高いことが明白です。
加えて、アニメ最終話における演出も「次回への布石ではないか」と話題になっており、ストーリーの終わり方に含みを持たせた構成だったと捉える視聴者も多くいます。
たとえば、A2が9Sと再会する寸前で終わるラストカットなど、「続きがある前提」のような構成が、ファンの間で憶測を呼んでいます。
さらに、ブルーレイや配信の売上状況によっては、OVA形式や劇場版での展開も十分に考えられます。
TVシリーズで描ききれなかった物語を補完する形でのリリースは、近年のアニメ業界でもよくある流れですし、『ニーア』のようなコンセプチュアルな作品にとっては、映画的手法が相性が良いとの意見もあります。
ファンの期待が高まり続ける中、3期が実現すれば、これまで描かれなかったキャラクターの内面や、終末的でありながらもどこか希望を感じさせる『ニーア』独特の世界観が、より一層の深みを持って表現されることでしょう。
総括:ポイント

ここまでを踏まえて、『ニーアオートマタ』アニメに関する評価と問題点をもう一度整理し、作品の魅力と課題を再確認してみましょう。
- 作画・音楽・演出は高品質で、原作ファンからは好評:ビジュアル面では「劇場レベル」との評価もあり、アニメ単体としての美しさが際立ちました。
- ゲーム未経験者には難解な構成と説明不足が障壁に:初見では理解しづらい用語や設定が多く、世界観への没入を阻害しました。
- 繰り返される放送中断で視聴継続が困難に:中断によるテンポの悪さと感情の途切れが、視聴体験を損ねた要因に。
- 感情描写の弱さにより感動の瞬間が伝わりにくい:名シーンの演出不足や心理描写の薄さが、感動の共有を難しくしていました。
- 今後の続編制作は売上と反響次第で期待できる余地あり:未完部分の存在やファンの熱量から、3期や映画化などの展開は依然注目されています。
アニメ『ニーアオートマタ』は、原作の哲学性や世界観を大切にしつつも、映像表現として再構築する過程で生じた課題も明らかになった作品です。
既にゲームをプレイした人にとっては、新たな角度から物語を楽しむ補完的な存在であり、未プレイの視聴者にとっては、その奥深い世界観に触れる入り口としての価値を持っています。
今後、さらに物語が進展する機会があれば、これまで描かれなかったエンディングやキャラクターたちの運命がどのように描かれるのか、期待が高まります。
『ニーア』という作品が持つ問いかけと美学が、次なる形で再び表現される日を、多くのファンが楽しみにしていることでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

アニメ・映画が大好きで毎日色んな作品を見ています。その中で自分が良い!と思った作品を多くの人に見てもらいたいです。そのために、その作品のどこが面白いのか、レビューや考察などの記事を書いています。
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