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アニメ『憂国のモリアーティ』は本当にひどい?評判と魅力を徹底解説

アニメ・漫画

アニメ『憂国のモリアーティ』は、2020年から放送され話題を集めた作品です。

ところがネット上では「ひどい」「つまらない」といった声も少なくありません。

これから観ようか迷っている人にとっては、不安になる評判ですよね。

本記事では、アニメ『憂国のモリアーティ』が「ひどい」と言われる理由を整理しつつ、実際に視聴して感じられる魅力もご紹介します。

結論としては、人によって好みが分かれる要素はあるものの、十分楽しめる価値のあるアニメです。

アニメ『憂国のモリアーティ』の基本情報

ここでは、アニメ『憂国のモリアーティ』を初めて知る方が全体像をつかめるように、作品概要からあらすじ、主要キャラクターと声優、そして配信サービスまでまとめてご紹介します。

作品概要

『憂国のモリアーティ』は、構成を竹内良輔さん、漫画を三好輝さんが手がけたダークサスペンス漫画を原作とするアニメ作品です。2016年に『ジャンプスクエア』(集英社)で連載がスタートし、2023年まで第一部が続きました。その人気から小説化や舞台化、さらにはミュージカル化、そしてアニメ化へと幅広くメディア展開されています。

アニメは2020年10月から12月に第1クール、2021年4月から6月に第2クールが放送され、全24話が制作されました。さらに2022年にはOVAが2本リリースされ、アニメオリジナルのエピソードもファンを楽しませました。制作を担当したのはアニメーションスタジオ Production I.G。『攻殻機動隊』『ハイキュー!!』『黒子のバスケ』などを手掛けた実績があり、美しい作画や重厚感のある映像演出に定評があります。

本作の最大の特徴は、シャーロック・ホームズシリーズに登場する「モリアーティ教授」を主役に据えた点です。コナン・ドイル原作では“悪の天才”として描かれるモリアーティを、現代的な視点から「腐敗した社会を変えるために必要な存在」として再解釈。単なる悪役ではなく、理想と矛盾を抱えた複雑な人物像が描かれています。この大胆な設定が、従来の探偵物語とは異なるスリルを生み出し、多くのファンを惹きつけました。

アニメ版のスタッフも豪華です。監督は野村和也さん、シリーズ構成は雑破業さん(第1クール)と岸本卓さん(第2クール)、キャラクターデザインは大久保徹さんが担当。音楽は橘麻美さんが手掛け、荘厳で緊張感あふれるBGMが作品世界を引き立てています。オープニング・エンディングテーマも、畠中祐さんやSTEREO DIVE FOUNDATIONといったアーティストが参加し、作品の雰囲気を彩りました。

物語は「階級社会に挑む青年たちの革命劇」でありながら、同時に「ホームズとモリアーティの頭脳戦」というクラシックな要素も盛り込みます。社会派ドラマと探偵サスペンスが融合したスタイルは、アニメファンだけでなく原作の小説ファンにも強い印象を残しました。

さらに、本作はキャラクターの美しさや心理描写の深さでも注目を集めました。ウィリアムをはじめとするモリアーティ三兄弟、そしてホームズやワトソンといったおなじみの人物たちが現代的な感覚で描かれ、若い視聴者層からも支持を得ています。

※詳しい作品情報は公式サイトをご確認ください。

あらすじ

舞台は19世紀後半、産業革命によって発展を遂げたロンドン。表向きは繁栄に包まれていますが、その実態は古くから続く階級制度によって、庶民が貴族に搾取される不公平な社会でした。

そんな社会に強い疑問を抱いていたのが、主人公 ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ。彼は幼少期に弟ルイスと共に貴族・モリアーティ家に迎え入れられます。表向きは良き養子として過ごす彼らですが、実際にはモリアーティ家の腐敗を憎み、アルバートと手を組んで家を掌握。三兄弟は、自らの正義を実行するために手を血で染めながらも、社会を変革する計画を動かしていきます。

成長したウィリアムはダラム大学で数学を教える若き教授として人々から尊敬を集める一方、裏では「犯罪相談役(クライムコンサルタント)」として暗躍します。依頼人の悩みを聞き、悪徳貴族や腐敗した権力者を葬り去ることで“正義”を実現するのです。その方法は巧妙で、決して彼自身が直接手を下さず、依頼人や周囲を利用して罪を成立させるという冷徹さも持ち合わせています。

彼の計画は次第に規模を増し、ロンドンを揺るがす事件の裏には常に「モリアーティ」の影が見え隠れするようになります。そして、その異変をいち早く察知するのが、後に世界一の探偵と称される青年 シャーロック・ホームズです。彼は持ち前の観察力と推理力で、表には現れない“真犯人”の存在を嗅ぎ取り、やがてウィリアムとの邂逅を果たします。

ウィリアムにとってホームズは邪魔者であると同時に、自分たちの思想を試すための「対等な相手」。一方、ホームズにとってウィリアムは犯罪者でありながら、人を救う姿勢を垣間見せる理解不能な存在。二人の天才は互いを認め合いながらも、ロンドンの未来を賭けた頭脳戦に巻き込まれていきます。

物語が進むにつれ、モリアーティ三兄弟の計画は国家をも動かす規模に拡大し、MI6や軍部、さらには女優アイリーン・アドラーといった歴史的・文学的キャラクターも登場。表と裏の世界が交錯する中、ウィリアムとホームズは「秩序ある悪」と「混沌を内包する正義」という矛盾を背負いながら、最後の対決へと進んでいきます。

登場人物と声優

個性豊かなキャラクターと実力派声優の組み合わせも大きな見どころです。主要キャラクターを表でまとめました。

キャラクター声優特徴
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ斉藤壮馬表の顔は大学教授、裏の顔は犯罪相談役。冷静沈着で天才的な頭脳を持つ主人公。
アルバート・ジェームズ・モリアーティ佐藤拓也モリアーティ家の長男。軍やMI6の地位を利用して弟たちを支える。
ルイス・ジェームズ・モリアーティ小林千晃ウィリアムの実弟。兄に心から忠誠を誓う冷徹な参謀役。
セバスチャン・モラン日野聡元軍人で銃の名手。豪快だが忠義に厚い。
フレッド・ポーロック上村祐翔無口で変装や暗号に長けた青年。裏社会とのつなぎ役。
シャーロック・ホームズ古川慎諮問探偵を自称する青年。事件の裏に潜むモリアーティに気づく。
ジョン・H・ワトソン小野友樹元軍医でホームズの相棒。彼の冒険を小説として世に広める。

声優陣は若手からベテランまでバランスよく配置されており、キャラクターに説得力と深みを与えています。

配信状況

「憂国のモリアーティ」を視聴できる配信サービスを表にまとめました。月額料金や無料トライアルも確認できるので、自分に合った方法で楽しめます。

配信サービス配信形態月額料金(税込)無料トライアル
U-NEXT見放題2,189円31日間
DMM TV見放題550円30日間
Lemino見放題990円31日間
dアニメストア見放題550円31日間
Rakuten TVレンタル作品ごと課金なし
J:COMオンデマンドレンタル作品ごと課金なし

見放題サービスで全話まとめて観るのも良し、レンタルで気になるエピソードだけを楽しむのも良し。視聴スタイルに合わせて選べるのも嬉しいポイントです。

ここまでで、作品の基本情報からキャラクター、配信サービスまで整理しました。次の章では「ひどい」と言われる理由に迫りながら、実際の評価や魅力を深掘りしていきます。

レビューサイトでの評価

アニメ『憂国のモリアーティ』は放送当時から大きな話題となり、レビューサイトやSNSでも多くの感想が寄せられました。評価は全体的に高めではあるものの、一方で「ひどい」と感じる人の声も少なくありません。ここでは、実際の感想を整理しながらその理由を探っていきます。

まず多く見られるのが「作画が綺麗」という評価です。Production I.Gが手掛けるだけあって、背景美術やキャラクターの表情が非常に繊細に描かれており、とくにロンドンの街並みや霧の演出には「映画のようだ」と絶賛する声が集まりました。例えば第1話の火事のシーンでは、燃え上がる屋敷と少年時代のモリアーティ三兄弟の表情が鮮烈に描かれ、視聴者を一気に物語の世界へと引き込みました。

また「世界観が好き」という感想も多く見られます。大英帝国の階級社会を舞台に、モリアーティが悪徳貴族を裁いていくというストーリーは、ただの探偵アニメにはない社会派の重みがあります。ホームズシリーズの登場人物を大胆にアレンジして登場させる点も「知っているキャラが新しい姿で描かれていて面白い」と好評です。特にアイリーン・アドラーが「ジェームズ・ボンド」として登場する展開は、原作ファンを驚かせると同時に「うまい reinterpretation(再解釈)」と評価されました。

一方で、批判的な意見も目立ちます。代表的なのが「ストーリー展開が雑」という感想です。原作の長いエピソードを1話や2話にまとめてしまったため、じっくり描いてほしい部分が駆け足に感じる人もいました。特に「ホワイトチャペルの亡霊」編では、猟奇的な事件の真相が明らかになる過程が急ぎ足に感じられ、「もっと深堀りできたのでは」という声が多く寄せられています。

総合すると、『憂国のモリアーティ』は作画や世界観に対しては高い評価を得ている一方で、ストーリー構成やテンポについては賛否が分かれるアニメといえます。つまり「ひどい」と感じる人の多くはストーリー面に不満を持ち、「面白い」と感じる人は演出や世界観を評価しているという構図が見えてきます。

アニメを観るか迷っている方は、まずは自分が重視するポイントを考えるのがおすすめです。ビジュアルや雰囲気を楽しみたい人には十分魅力的に映るはずですし、ストーリーをじっくり追いたい人には原作漫画と並行して観ると理解が深まりやすいでしょう。

アニメ『憂国のモリアーティ』がひどいと言われる理由

どんなに人気のアニメでも、必ず賛否が分かれる部分があります。『憂国のモリアーティ』も例外ではありません。美しい作画や独特の世界観を評価する声が多い一方で、「ひどい」「残念だった」と感じた視聴者の意見もレビューサイトやSNSで散見されます。

では、なぜこのアニメが「ひどい」と言われてしまうのか。ここからはその理由を具体的に見ていきましょう。

ひどい理由① 作画や演出の好みが分かれる

まず挙げられるのが作画や演出に関する意見です。『憂国のモリアーティ』は制作会社がProduction I.Gということもあり、全体的な映像のクオリティは高いと評価されています。ロンドンの街並みを描いた背景や、霧に包まれる夜のシーンは「美しい」と感じる人が多く、特にオープニングで描かれる赤いバラや硝子が砕けるような演出は象徴的で印象に残ります。

しかし、その美しさが逆に「やりすぎ」「舞台のようでリアリティがない」と感じる人もいます。例えば第1話でモリアーティ三兄弟が本物のウィリアムを手にかけるシーン。赤い血の描写が過度に抽象的に処理されており、リアルさよりもスタイリッシュさを重視した演出になっていました。この点について「もっと重苦しく生々しいほうが物語に合っていたのでは」と批判する声もありました。

また、キャラクターデザインの“美形”寄りの表現にも賛否があります。ウィリアムをはじめとした登場人物はどこか耽美的で、作画の美しさが強調されすぎているため、「まるで乙女ゲームのキャラみたい」と感じた視聴者もいたのです。一方で「それこそが作品の魅力」という反論もあり、ここは好みが大きく分かれるポイントだといえます。

ひどい理由② ストーリーのテンポに不満の声

次に目立つのがストーリーのテンポに対する不満です。原作漫画は長期連載でエピソード一つひとつに厚みがありますが、アニメでは全24話に収めるために展開が早く、時に駆け足に感じられました。

特に顕著なのが「ホワイトチャペルの亡霊」編です。実際のロンドンを震撼させた切り裂きジャック事件をモチーフにした重要なストーリーであり、モリアーティ陣営とホームズ陣営の対立が一気に深まるエピソードです。しかしアニメでは数話でまとめられたため、「事件の真相が唐突すぎる」「もっと丁寧に描いてほしかった」という感想が多く見られました。

また、テンポが早いがゆえに「気づいたら次の事件に移っていた」という声もあります。例えばウィリアムが依頼人を助ける小さなエピソードは原作だと心理描写を丁寧に描いているのに、アニメだとさらっと流されてしまい、人によっては感情移入が難しいと感じたようです。

反対に「サクサク進んで観やすい」と好意的に受け止める人もいましたが、物語の重厚さを楽しみたい人にとっては物足りなさが残った部分といえるでしょう。

ひどい理由③ キャラクター描写に賛否

キャラクターの描写についても、視聴者の意見は割れています。

例えば主人公ウィリアムは冷徹な「犯罪相談役」でありながらも、弱者を救う一面を持つ複雑な人物です。第6話・第7話「ノアティック号事件」では、船内で起きた事件を利用しながら腐敗した貴族を追い詰める姿が描かれましたが、彼がどこまで人を救いたいのか、どこまで冷酷なのかが分かりにくいという意見がありました。「結局はカッコよく描きたいだけに見える」と批判する人もいたのです。

また、シャーロック・ホームズの描写も議論を呼びました。原作小説ではどこか風変わりで皮肉屋のキャラクターとして知られていますが、本作では青年らしい真っすぐさや泥臭さも加わっています。これに対して「親しみやすくて良い」という声がある一方で、「オリジナルのホームズ像とかけ離れていて違和感がある」と感じた人もいました。

さらに、ワトソンやセバスチャン・モランといった脇役の扱いに不満を漏らす視聴者もいました。原作漫画では彼らの内面や背景が丁寧に描かれるのに対し、アニメでは事件解決のサポート役にとどまる場面が多く、キャラクターとしての魅力を十分に発揮できていないと感じる人がいたのです。

ひどい理由④ 原作ファンからの期待外れ感

最後に無視できないのが、原作ファンからの「期待外れだった」という声です。

漫画版『憂国のモリアーティ』は、緻密な心理描写や長期的な計画が少しずつ明らかになっていく構成が魅力です。そのため熱心な読者は「このエピソードがどうアニメ化されるのか」と期待を膨らませていました。

ところが、アニメでは原作の長いストーリーを短くまとめたり、省略したりする部分が多く、ファンからは「せっかくの名シーンが簡単に流されてしまった」と残念がる声があがりました。特にアルバートがモリアーティ家を掌握する過去のエピソードや、フレッド・ポーロックが依頼人に寄り添う細かい描写など、作品の深みを支える場面が削られていたことが批判につながりました。

また、結末に関しても「アニメオリジナルの要素が強すぎる」と感じた人が多くいました。原作と異なる展開に挑戦したことは勇気ある試みでしたが、「原作の緻密さが好きだったから改変は残念」という声が目立ちました。

アニメ『憂国のモリアーティ』の魅力

『憂国のモリアーティ』は、一部の視聴者から「ひどい」と批判されることもありますが、それ以上に強い魅力があるからこそ多くのファンを惹きつけてきました。物語の切り口やキャラクターの深さ、そして映像美や音楽まで、見どころは数えきれません。

ここでは本作が持つ4つの大きな魅力を具体的にご紹介していきます。

魅力① モリアーティを主役に据えた斬新な視点

これまで「名探偵ホームズ」の物語でモリアーティ教授といえば、ホームズの宿敵として描かれる“悪の天才”でした。ところが『憂国のモリアーティ』では、このモリアーティを主人公に据えるという大胆なアプローチを取っています。

この視点の転換が、作品全体に独自性を与えています。主人公ウィリアムは決して単なる悪役ではなく、「腐敗した階級社会を変革する」という理想を掲げる革命者。第1話では、彼が弟ルイスとともに養父母を排除し、アルバートと手を組んでモリアーティ家を掌握する場面が描かれます。このシーンは衝撃的でありながら、「自分たちを見下していた偽善的な貴族に裁きを下す」という正義の側面を同時に感じさせるものでした。

視聴者は彼の行動を単純に「悪」と断じることができず、「もし自分が同じ立場なら?」と考えさせられます。この“悪を通して社会正義を問う”構造が、多くのファンを作品に引き込む要素となっています。

魅力② 作画の美しさとスタイリッシュな演出

Production I.Gが手掛ける映像美は、本作の大きな魅力のひとつです。ロンドンの石畳の街並みや霧に包まれた夜景は、ただ背景として存在するのではなく、登場人物の心情や物語の緊張感を際立たせる舞台装置として機能しています。

特に印象的なのは、ノアティック号での事件を描いた第6話と第7話。豪華客船の煌びやかなホール、冷たい海の青、そして船内で起こる殺人劇が鮮烈なコントラストで描かれます。視覚的な美しさとサスペンスの緊迫感が融合し、ただの推理劇を超えたドラマ性を演出していました。

また、キャラクターの立ち振る舞いや目線の演出もスタイリッシュです。ウィリアムが依頼人に向けて優しく微笑む一方で、影に入ると冷徹な眼差しに変わる瞬間など、作画と演出が細やかに連動していて、「二面性を持つ人物」であることを視覚的に感じ取れるのです。

音楽との相性も抜群で、橘麻美が手掛けたサウンドトラックは重厚なクラシック調。ピアノや弦楽器の旋律が、ロンドンの荘厳さとモリアーティの策略の緊張感をさらに高めています。

魅力③ 社会問題を描いた重厚なテーマ性

『憂国のモリアーティ』が他のアニメと一線を画すのは、単なる推理やバトルだけでなく、19世紀のイギリス社会が抱えていた「階級制度」や「差別」といった社会問題を正面から描いている点です。

例えば、あるエピソードでは高慢な貴族が庶民を見下し、犯罪を起こしても権力で揉み消そうとする姿が描かれます。そんな彼らに対し、ウィリアムは「自らの悪を自らの手で裁かせる」という形で罰を与えるのです。これは単なる復讐ではなく、「不平等な社会を変えるための一歩」として描かれており、視聴者に“正義とは何か”を問いかけます。

また、ワトソンが戦争で負った傷を抱えながらも人を救おうとする姿や、アイリーン・アドラーが社会の枠を超えて自分の生き方を選ぶエピソードなども、当時の時代背景を踏まえながら現代の視聴者に通じるテーマを提示しています。

こうした重厚なテーマ性は、「ただの美少年アニメかと思ったら違った」「見終わったあとに考えさせられる」という感想につながっており、作品に奥行きを与えています。

魅力④ 名探偵ホームズシリーズとの巧妙なリンク

最後の魅力は、やはり原作小説「シャーロック・ホームズ」シリーズとのつながりです。『憂国のモリアーティ』はオリジナル要素を盛り込みながらも、随所でホームズの物語にリンクしており、ファンをニヤリとさせる工夫がされています。

たとえば、第8話と第9話で描かれる「緋色の研究」。これはコナン・ドイルの原作小説の題名でもあり、アニメ内ではワトソンがホームズとの冒険を小説化するという形で描かれます。視聴者は「この世界のホームズが、こうして自分の物語を世に広めていくのか」と知ることができ、作品世界が広がっていく感覚を味わえるのです。

さらに、アイリーン・アドラーが「ジェームズ・ボンド」として活動する設定は、原作ファンにとって驚きの大胆なアレンジでした。イギリスのスパイ文化やMI6の設定とうまく絡めることで、歴史や文学を横断する面白さが加わっています。

そしてクライマックスでは、原作でも有名な「最後の事件」にあたるライヘンバッハの滝での対決を思わせる展開が描かれます。ホームズとモリアーティが互いを認め合いながらも、理想と正義をかけて衝突する姿は、原作ファンならずとも胸を熱くさせる名シーンでした。

まとめ

ここまで『憂国のモリアーティ』の評価や魅力を詳しく見てきました。賛否両論のあるアニメだからこそ、気になっている方は「本当に自分に合うのか?」と迷ってしまうかもしれません。最後に、改めて本作の魅力と視聴のポイントを整理してみましょう。

アニメ『憂国のモリアーティ』は、確かに人によっては「ひどい」と感じる部分もあります。例えば、第14話以降のテンポの速い展開に「もっと丁寧に描いてほしかった」という声もありましたし、第1話で本物のウィリアムを葬り去るシーンを「衝撃的すぎる」と批判する人もいました。

けれどその一方で、「モリアーティを主役に据える」という斬新な設定や、Production I.Gらしい美しい作画、ロンドンの霧を印象的に使った映像演出などは、多くの視聴者から高い評価を得ています。特にノアティック号事件でのウィリアムとホームズの知恵比べは、映像・音楽・キャラクターが一体となって盛り上がる名シーンとして語られています。

また、この作品は単なる探偵ものにとどまらず、階級社会への批判や「正義とは何か」というテーマを真っ向から描いた点でも注目されました。貴族に虐げられる庶民を助けるウィリアムの姿は、視聴者に爽快感と同時に倫理的な問いを投げかけてきます。だからこそ「自分はモリアーティに共感するのか、それともホームズの立場に立つのか」と考えながら視聴できる、奥深いアニメになっているのです。

さらに声優陣の熱演も見逃せません。ウィリアム役の斉藤壮馬さんの静かで冷徹な声色、シャーロック役の古川慎さんの力強いセリフ回し、そして小林千晃さん演じるルイスの兄への深い忠誠心あふれる声。どのキャラクターも声優の力によって一層生き生きと描かれています。

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